隙間風夏は嬉しき風なるに
わたくしが生まれた大洗の母の実家の前には観光客のツアーも来るという辛子明太子の工場があり、北漁場の鱈子と加工する博多とでは離れ過ぎているというので間を取って大洗で加工することになったと聞くが関東では塩漬けの鱈子を炙って食べていたので福岡で初めて食べた時はくどい味だと思ったが、最近は辛子明太子しか見なくなったが、この味に慣れると辛子明太子のスパゲッティなど乙な味で御飯にも合うと合点するようになったが、太いのは値段も張るのできっこさんに同じく切れ子の半額狙いで、というかわたくしは半額専門買い付け老人なので仕事帰りに半額品をいつものように漁っていたら上には上がいて、雪印の「恵」というヨーグルトが沢山半額で一個80円で並んでいたので、「恵」は重いから干物や鱈子の半額品をアサリチャンして最後に寄ったら見事にカラになっていて、がっかりしてレジに並んだら前の女性が籠一杯に半額シールの「恵」を詰め込んでいたので驚いた。「関東の一つ残し」と言って最後のひとつは残すという木守柿のような風習があるのにこの女性は全部さらって来たのか、他の人にも沢山あるから残してあげようという気はなかったのかと思ったからだ。せちがらいのか、物価高騰の折の子ども等に食べさせようという思いなのか判然としないが、品薄になると買占めに走る群衆心理でもないだろうし、貧乏節約の半額狙いとも少し違うし、美容かねえ、と見てはいけないものを見てしまったような心持になった。ひとりで持てるのかとレジ係も心配する量だった。ヨーグルトは便通が良くなるので正月に餅を食い過ぎて「去年今年貫く棒のようなもの」に吃驚してトイレで「考える人」のポーズが続いて往生したのでそういう時には「恵」を摂るのである。とはいえ、新札幌乳業の「北海道てんさい糖のむヨーグルト」も半額だったので代りに二本買って来たら、これが美味しくて、しかも効果抜群で爆発するほど出たから、便通には「北海道てんさい糖のむヨーグルト」が効くとメモ帳に付け足した。
写真はホシハジロの♂。キンクロハジロに混じっていて初めて飛来してきた新顔の鴨である。