年末で暖簾を下ろす老舗かな
>即興の踊る振付け年の暮 ハジメ2018
ずっと寝る間も惜しんで句集校正に精を出していたので、寝る間を惜しんで映画やTVドラマを見る五歳からの映画狂だったわたくしは溜っていた韓国『力の強い女カン・ナムスン』『無人島のディーバ』や英国『モース警部エンデヴァー』やタイ『レストランへようこそ』やニュージーランド『シェパード警部』の映画やTVドラマを見続けていたら、行き付けの喫茶店のマスターが日本のは見ないのと言うと、アニメや漫画原作のドラマは『ミステリと言う勿れ』を初め最近のアニメ『薬屋のひとりごと』も面白いが、実写ドラマは俳優の演技が世界のレベルから言うと日本はジャリタレばかりで下手糞で学芸会以下で見てられないと言うと、『たそがれ優作』と『セクシー田中さん』が面白いと言う。主役は誰なのと聞くと北村有起哉と木南晴夏。北村有起哉は三島由紀夫の『近代能楽集』の『卒塔婆小町』(わたくしは人間国宝の『卒塔婆小町』を旧能楽堂で見ている。実に忍耐を要する初めての観劇だった)を寺島しのぶと共演して詩人の役をやって素晴らしかったし、お気に入りの寺島進の『駐在刑事』シリーズでは監査役でいい味を出していて父親の北村和夫ともども親子二代のファンである。『たそがれ優作』は最終話しか見られなかったが、何んとわたくしの第二の故郷の逗子が舞台で魚屋のやっている「魚佐次」という居酒屋が出て来た。この魚屋は逗子駅前にあり安くて贔屓にしていたが、あるとき鰤のカマだけカミさんと二人分買おうとしたら婆あが身も買わないと売らないと言われて喧嘩になり、その後食中毒を起こして閉鎖されたのでざまあみろと思っていたが、息子はよさげに見えたので持ち直したのだろう。実在の店がドラマに出るのはよくあるが、なかなか優作さんはいい味を出していた。
木南晴夏はわたくしが愛してやまない『勇者ヨシヒコシリーズ』の ムラサキ 役 で大ファンになった。福田雄一脚本・監督、山田孝之主演による「ローコスト冒険ドラマ」だが、わたくしの生まれた大洗を舞台にこのコンビで『大洗にも星はふるなり』というクソつまんねえ映画を作ったので期待はしなかったが、いや面白いのなんの、出場者全員ぶっとびの世界に誇る低予算ゲーム実写ローコスト冒険譚で仏役の佐藤二郎はじめ怪演続出で何回見ても笑い転げた。ムラサキ 役 で豚顔に変身させられた木南晴夏が昼は地味なOLだが夜は妖艶なベリーダンサーになるという仰天ドラマ『セクシー田中さん』で、初めは木南晴夏とわからないほどの変身でいや面白いのなんの、感心した。なんと彼女は國學院大學の後輩である。青山大学には実践女子大がお似合いだと馬鹿にされてきた右翼大学だが木南晴夏が後輩にいてくれて鼻が高いわ(あほや)。
ハジメ2018さんの踊りで『セクシー田中さん』のドラマを思い出した。まだ放映中なので楽しみ。ちなみに『たそがれ優作』も『セクシー田中さん』も漫画が原作で、『ミステリと言う勿れ』もそうだから、映画TV業界がいかにジャニタレ重視でレベルが落ちたのか愕然とする。まあ、少年漫画も少女漫画も映画やTVと一緒に楽しんできたから日本が世界の映画を席巻していた昭和34年代をつぶさに生きられたからTVと映画の黄金時代を生きていたことは恵まれていた得難い体験だったとは言えるねえ。
新宿騒乱罪時代はパリの六月革命を呼び水に世界中が沸騰した時代だった。わたくしは原宿の朝鮮料理屋のバーテンを未成年なのにやらされて学費を稼いでいたので、親の脛齧ってるのに勉強はせずに政争に参加する学生が右翼も左翼も嫌いで暴動に参加はしなかったが新宿にも清水谷公園の機動隊との衝突の現場にもわたくしはたまたま居た。代々木に下宿していて騒々しいので出て来たのと大学の書道部の沖縄出身の先輩に一緒に参加してくれと頼まれ、妹が美人だったのでほだされて参加した。清水谷では機動隊、それも最強と言われた桜田門の部隊に追われたが、暴動者たちに水平にガス弾を発射して顔面を狙っていた新宿と違って、彼らはデモに参加しただけの学生は襲わなかった。わたくしが顔を晒していて手ぬぐいで顔を隠してゲバ棒を振り回す連中と暴力のプロから見ると見わけが付いたのか今となってはわからない。どう見ても機動隊は完全武装でシュプレヒコールだけの学生が勝てるとは思えなかったし、ヘルメットと盾で顔が見えなくて人間じゃなくてでかいカブトムシの戦闘員の塊の行列に挟まれているようだった。機動隊も暴徒も共通しているのは群をなして顔を隠して暴力を奮う集団になっているということだけである。そこには名前と顔を持った個人はいない。わたくしはどちらにも与しない。君子ではないので難しいが「和して同ぜず」(論語)を選ぶ。
写真は今月で店を閉める阿佐ヶ谷「かつ源」のわたくしだけの脂身多めの上ロース定食+メンチカツの猫髭スペシャル。中野から阿佐ヶ谷に移ってからも通い続けて二十年。コロナの時も行列が絶えなかったが、後継者に恵まれなかった。横浜馬車道のトンカツの元祖「勝烈庵」、目黒の「とんき」は支店まであるが、阿佐ヶ谷「かつ源」の猫髭スペシャルがあるから横浜や目黒まで行かなくて済んだのに残念。