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スレッドNo.2772

春浅ししまひ忘れし猫の舌

戸塚のドリームランドの下の畑に囲まれた貸家に住んでいた時に、生まれたばかりで段ボールに捨てられていたらしい仔猫がわたくしが仕事で出かけるときにドアを開けたら入って来て、見送りに出て来た妻の足にすがりついてちゅうちゅう前脚で押しながら乳を飲む仕草をしたので妻は可愛くて捨てられなくなり哺乳瓶を買って来て飼うことになったが、よく舌を出して寝ていて可笑しかったが、どうも仕舞い忘れて寝ていたらしい。風呂に入れるとおびただしい蚤が出て来たのでまだ生まれたばかりで妻を母猫だと勘違いしたらしい。大家が猫は柱や障子を引掻くからと懸念したので、猫のために猫のドアを玄関とトイレに付けた家を逗子の山の上に建てて移ったので不動産屋も猫のために家を新築した客は初めてだと驚いていた。名前を仏蘭西映画の『霧の波止場』(1938年。ゴダールの『勝手にしやがれ』のラストシーンはこの映画のオマージュになっている)に出て来る野良犬のKIKIから喜来と名付けて可愛がったが、自分を人間と思い込んで育ったので人間にしか慣れなかった。子どもが生まれて喜来は赤ん坊から隔離されたので、わたくしが海外出張に行っていた留守に血を吐いて裏山に消えて、来た時と同じようにひとりで死んでいった。以来、生き物は飼っていない。

写真はネギ玉。きっこさんが偶然メルマガでお父さんの作ったオムレツの話をしていたが、わたくしのオムレツは葱だけである。作り方は簡単で葱をざくざく一本半くらい切って、まず植物油で軽く塩胡椒して炒める。そこに生卵四つを溶いて混ぜ混ぜしながらオムレツの形にするだけである。醤油もソースもかけない。ほんのりと塩胡椒の味に炒めた葱と卵の甘さがこれまたほんのりとした味わいで、酒のつまみにも飯のあてにも抜群で、なんでこんなシンプルなオムレツがうまいのか、卵料理が苦手なお客も、これおいしいね、ほっこりする味だねと喜ぶ。味噌汁は冬場限定のちぢみ菠薐草で、雪で押しつぶされてひらべったくなっているが、これが茹でるとそのスープが実に滋養のあるほっこりとした味で、スープにしても味噌汁にしても、普通の菠薐草が色褪せるうまさで、当然菠薐草のベーコン炒めもポパイが喜ぶ力が付く味である。

引用して返信編集・削除(編集済: 2024年02月09日 08:23)

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