菜箸で味見してゐる夜長妻
皆さん、こんばんは。
猫髭さんの魚料理の描写は、本当に美味しそうですね。
美味しくなかった料理、イマイチだった料理でも、猫髭さんの筆に掛かると「美味しそう」に感じてしまいます♪
とてもお上品な柳鰈の干物は、「焼く」というより「炙る」という表現が適当で、半透明の皮からオレンジ色の卵が透けて見えていたら最高です。
あたしは良く冷やした銀嶺立山にアテたいので、猫髭さんとは違って、お箸で背骨に沿って浅い切れ目を入れ、その切れ目にお醤油をちょっとだけ垂らし、炙ってパリッとした皮とホクホクの身を一緒に口に入れ、江戸切子に注いだ冷たい銀嶺立山で流します。
世の中では新鮮なお刺身が魚料理の最高峰のように見られていますが、あたしは「新鮮な魚の塩焼き」が一番好きで、次が「煮魚」、その次が「天ぷら」や「フライ」などの揚げ物で、「お刺身」は五番目です。
それも「新鮮なお刺身」ではなく、釣りたてにシッカリと血抜きをし、その日のうちに三枚におろし、冷蔵庫で2~3日ほど寝かせてから引いたお刺身です。
サバのように、釣りたての新鮮なうちでないとお刺身で食べられない「足の速い魚」は別として、たいていの魚は、釣りたてよりも2~3日ほど寝かせたほうが美味しくなると思います。
特に大きな魚の場合は、切身にして焼いたり煮たりするなら釣りたてのほうが美味しいですが、お刺身でいただくなら、少し寝かせて熟成させたほうが味に奥行きが出ると思います。
でも、小ぶりの魚なら、新鮮なものを塩焼きにするのが最高ですね。
あたしがこれまでに食べた魚料理の中のナンバーワンは、能登半島の付け根の氷見(ひみ)の漁港にある漁師さん御用達の居酒屋さんで食べた、30分前に水揚げされたばかりの「カマスの塩焼き」です。
35センチくらいの太ったカマスの塩焼きでしたが、皮がパリッとするまでシッカリと焼いてあるのに、振り塩はヒレを焦がさないための最小限の量しか使っておらず、お箸で身を取るとお刺身のように柔らかく、添えてあった猪口の「しょうが醤油」につけてから口に入れると、それまで経験したことがないような奥深い味わいが口いっぱいに広がりました。
そして、そこへ銀嶺立山を流し込むと、まるで桃源郷のようでした。
他にも、青森の居酒屋で食べた「シマホッケの干物」とか、山口の専門店で食べた「クエ鍋」とか、佐賀の食堂で食べた「アラカブ(カサゴ)の煮付け」とか、大分の居酒屋で食べた「豊後アジのお造り」とか、大感動した魚料理はたくさんありますが、その中でナンバーワンと言われたら、あたしは氷見で食べた「カマスの塩焼き」を挙げますね♪