小正月旧暦はクリスマス・イヴ
カレンダーを見ると今日15日は旧暦12月24日のクリスマス・イブ大安とあるので旧暦だと小正月とクリスマスと目出度さも重なり、20世紀は15日が成人式でした。当時は狐の首付きマフラーという不気味なものを振袖に巻いていたり、振袖高いから『少女フレンド』に1975年から連載された大和和紀の漫画『はいからさんが通る』が大ヒットしたせいで主人公の花村紅緒の袴に革靴という大正時代のハイカラ服装が成人式に流行したものだ。この漫画は『マーガレット』に連載された土田よしこの『つる姫じゃ〜っ!』と並んでユーモア漫画の傑作として大ヒットしたのでどちらもいまだに全巻持っているが、特に『はいからさんが通る』の紅緒が通う冗談社という雑誌社の壁に書かれた標語が面白いのなんので毎週日本中の少女漫画ファンを喜ばせていた(わたくしは少女漫画から発禁漫画まで漫画だったら何でも読んでいた漫画ファン)。わたくしと妹たちに一番受けたのは、
「笑ってごまかせ自分の失敗
しつこくののしれ他人の失敗」
という標語で、よくTVドラマのコメディで出て来る標語が変なのが多いという(例えば『時効警察』や『トリック』や『野ブタ。をプロデュース』)のはこの『はいからさんが通る』の影響だと言える。ほとんど見過ごされるような背景の一部が凝っている面白さは少女漫画がルーツではないかと思うほどマニアックでオタクな面白さである。
関係妄想症なので話が成人式の振袖から飛んだが、この年になると井上陽水ではないが、女の子ってどんなに不細工でも笑顔で成人式には振袖でお洒落できるからいいなあと思わないでもない。わたくしは海辺の荒くれ漁師に囲まれて男子中男子高と保育園と小学校以外は男ばっかりだったからバンカラだったので、共学だった保育園と小学校が一番楽しい思い出で中・高はほとんど思い出すことはない。だから娘にふたり恵まれたのは大変幸せで、男親なら誰でもそうだろうが、娘はいくつになっても可愛い。でれでれ。(*^▽^*)ゞ。
男同士だと父と話したことなどほとんどなく父と酒を呑みかわすこともなかったが、昭和の男同士はそういうものだ。そう言えば漫画が原作のTVドラマ『舞妓さんちのまかないさん』で置屋の若女将と好きあっているのに口下手な教師がプロポーズ出来なくて祇園で分かれ際に「月が綺麗ですねえ」と言う台詞に女将が「わかってま。ほんまに月が綺麗やわ」と返すシーンはなかなか昭和生まれの男女の会話としてよく出来ていると思った。これは夏目漱石が授業中に「I Love You」をどう訳すかで「我れ君を愛す」と答えた生徒に「日本人はそんな露骨な言い方はしない。月がとても青いですねえでいいんだ」といった逸話を下敷きにしていて、最近のラブコメは中身からタイトルからこっぱずかしい鳥肌が立つような「愛」が溢れていて昭和男子たるもの見る気にもなれない。歌詞もそうだねえ。よく恥ずかしくなく言えるもんである。月が綺麗ですねえ。ほんに綺麗、でいいではないか日本人は。