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スレッドNo.341

琴線にしれつと触るる鳳仙花

皆さん、こんばんは。

話題が広がりすぎて収拾がつきませんが(笑)、話題も直前の人を「しりとり」するのなら、あたしが小学校低学年の夏休みに、生まれて初めて乗った飛行機がプロペラ機の「YS-11」で、羽田空港からの行き先は和歌山県の「南紀白浜」でした。

山を削って無理やりに造った滑走路は短くて、「YS-11」は着陸しようとしても減速し切れず、崖から落ちそうになって上昇し、上空をトンビのようにグルリと回り、また着陸にチャレンジ。
結局、何とか着陸できたのは3回目でした。

子どもだったあたしは、遊園地のアトラクションのようにキャーキャー騒ぎながら面白がっていて、スチュワーデスさんのくれたイチゴ味の飴をガリガリと嚙み砕いて食べてしまいました。

白良浜グランドホテルという立派なホテルに泊まり、母さんとホテルのプールで泳ぎまくり、美味しいお刺身の晩ごはんをお腹いっぱいに食べ、そのまま寝てしまいました。

すると、深夜に父さんに起こされました。
父さんに言われるままに着替えて着いて行くと、ホテルの前に迎えの車が来ていて、そのまま漁港へ向かいました。
あたしが父さんに連れられて乗り込んだのは、深夜から明け方までの「タチウオ釣りの乗合船」でした。

大きな釣り針にサラシの布を巻きつけただけの仕掛けを船から落とし、船頭さんに言われた通りに釣り糸を上下にシャクっていると、突然、もの凄い力で引っ張られました!
必死に巻き上げると、当時のあたしの身長と同じくらいの、銀色のタチウオが体をくねらせていました!

今考えると、白いサラシの布がルアーの役目で、タチウオはサラシの布をエサだと思って食いついていたのです。
タチウオは群れで移動するので、釣れている時は休んでいられません。

あたしが釣り上げたタチウオは、父さんが釣り針を外してくれたので、あたしはすぐに仕掛けを海に投げ込みました。
すると、またすぐに強い引きがあり、同じくらいのタチウオが釣れました。

銀メッキのようなタチウオの魚体は、乗合船のカンテラに照らされて宝石のように光り輝き、波打つ背びれの美しさは天使の羽根のようでした。
そして、夢中で釣り続けていたら、左足に違和感がありました。
あたしはゴム草履を履いていたのですが、なんか左のゴム草履の感覚がおかしいのです。

それで、カンテラの下に行って自分の左足を見たら、大量の出血で真っ赤になっていて、その血が乾き、ゴム草履が足の裏に張り付いていたのです。
バケツから飛び出したタチウオが、あたしの左足に鋭い歯で噛みつき、大出血していたのに、あたしは釣りに夢中で、そのことに気づかなかったのです。

あたしは真っ青になり、父さんに自分の血だらけの左足を見せました。
すると父さんは、ゲラゲラと笑い出し、あろうことか、こう言ったのです!

「タチウオには、サラシの布よりきみこの足のほうが美味しそうに見えるらしい!」

あしはものすごいショックで、翌日、ホテルが特別に調理してくれたタチウオ料理の数々にも箸が伸びませんでした。
そして、その数年後、父さんと母さんが離婚して、母さんと二人で暮らすようになり、父さんのことはたまに思い出す程度になっても、このふざけたセリフだけは忘れることがありませんでした。

でも、この「ふざけたセリフ」が、今では父さんがあたしにくれた「大切な言葉」の一つとして、あたしの記憶の図書館に大事に収納されているのです(笑)

引用して返信編集・削除(編集済: 2022年08月27日 20:31)

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