新宿のもぐらも愛でる月夜かな
杜人さんが伊勢湾から上がってきた名月を載せてくれたのでわたくしは新宿西口への舗道橋から見た名月をスマホからの写真だから画像は鮮明ではないが左手にカラオケ館が写ってただの雲ひとつない闇夜の望月とは違ったおもむきの写真と言えるでしょう。
それにしてもかをりさんの「LA4,ジャズのフルート」には驚き、わたくしが全LPを集めたエリック・ドルフィーが出て来て更に驚き。わたくしはアメリカのプロのジャズ・ミュージシャンからJazz Animalと呼ばれるほどのコアなジャズ・ファンですが、エリック・ドルフィーの名前を挙げた俳人は過去に大阪の茂雄吟行頭取(笑)の「こてこて句会」(メンバーには撫子さんや灌木さん飛び入りで佳音さんも)のメンバーのモキュおっちゃんだけでしたので嬉しい限り。L.A. 4のフルートは西海岸のサックス奏者バド・シャンクのアップテンポの演奏ですが『亡き王女のためのパヴァーヌ』(Pavane pour une Infante Defunte)は日本のレコード会社イースト・ウィンド (East Wind) から発売されたものです。『亡き王女のためのパヴァーヌ』はアメリカでこの曲を盗作した1939年のThe Lamp Is Lowというヒット曲騒動がありラヴェルの遺族の怒りを買って本国のスペイン以外では発売禁止になっていたもので我々好事家のコレクターは『亡き王女のためのパヴァーヌ』をスペインから逆輸入して聴いていたものです。今は解禁になって辻井伸行君の美しいピアノ・ソロを堪能出来ますが、この曲は呪いがかかっていると一時期噂になった幻の名曲なのです。
それはさておき、エリック・ドルフィーという若くしてドイツで演奏旅行中に糖尿病(当時は尿毒と云われていました)で客死した天才マルチ・リード奏者のラスト・レコーディング「あなたは恋の何たるかを知らない(You don't know what love is)」のライブをお聴き下さい(猫髭の右の矢印をクリック)。アルト・サックスでは「馬の嘶き」と称された強烈な演奏を聴かせ、バス・クラリネットというクラッシクでしか使われない重低音の楽器を誰も聴いたことがない演奏法で地獄の蓋が開くような音楽を聴かせますが、フルートでは一転「鳥の囀り」と言われた美しい演奏を聴かせてくれるオリジナリティーの塊のような天才でした。ジャズとかクラシックとか云ったジャンルを超えて音楽という音を楽しむ世界を御堪能下さい。
わたくしがドイツで買ったLPにはこの演奏のあと、ドルフィーの最後の言葉が録音されていました。“When you hear music,after it's over,it's gone in the air. You can never capture it again. “音楽が終わるとそれは空中に消えてしまう。それをつかまえることは出来ない。しかし、我々は録音された演奏を何度も聴けます。でも彼が言いたいことはそういうことではない。「一期一会」だということです。俳句も日常も同じ。しかも日常は繰り返しに堪えるものしか残さない。食卓に乗る団欒という料理は家族を統(す)べる普遍性を持っている。世界中を歩き(仕事でだけど)「おふくろの味」は世界共通の普遍性を持っていることを実感しました。時間をかけてこねくりまわした金のかかる料理は左脳俳句と同じでアカマムシドリンクで、「安い早い旨い」これが日常を統べる普遍性の力で俳句と似ています。吉野家か。いや今のは「安い早い不味い」だと初期の吉野家を知るお客が言っていました。わたくしはすき家の方が旨いと思うが、云われてみれば昔の神田のガード下の店の牛丼は焼豆腐やシラタキも葱も入っていて確かに圧倒的にすき焼きに近くて旨かったなあ。ん、何の話をしていたのか。(*^▽^*)ゞ。