山茶花やボス鯉を追ふ金の鯉
きっこさん、みなさんこんばんは。
昨日から新潟の五頭温泉にきています。
>山茶花やボス鯉を追ふ金の鯉の 兎波
さざんくわや/ボスごひをおふ/きんのこひの
五七六で最後の「の」は余計では。
山茶花や鯉にしたがふ鮒と鮠
だと、井伏鱒二の初期の名短編「鯉」の忘れられないシーンとなる。小説では夏だが。
私の鯉は、与えられただけのプールの広さを巧みにひろびろと扱いわけて、ここにあってはあたかも王者のごとく泳ぎまわっていたのである。のみならず私の鯉の後には、いくひきもの鮒と幾十ぴきもの鮠と目高とが遅れまいとつき纏っていて、私の所有にかかる鯉をどんなに偉く見せたかもしれなかったのだ。(井伏鱒二「鯉」『夜ふけと梅の花』昭和5年、新潮社)