指導する時に考えてしまうこと
フォームのことを小学生に告げるのは難しい。いつもそう思います。
短距離走で腕振りが横にブレている子に「腕は横じゃなくて前後に振ろう」と声をかけるのは簡単です。ですが、もしかしたらその選手は腕を横に振ることでレーン内をジグザグに走るクセを抑えて真っすぐ走る支えにしているのかもしれません。
もちろん無意識に。
コーチが前後への腕振りを指示すると、せっかく真っすぐ走れていたのに台無しになるのかもしれません。
ヒザが少ししか上がらない子に「もっとヒザを高く上げて走ろう」と指導することはすぐにできます。ですが、もしかしたらその選手はヒザを引き上げる筋肉がまだ十分についていないかもしれない。無理に上げようとすると脚を痛めてしまうかもしれない。
足を着地して回転し引き上げる時に後ろに流れてしまう(これが一番多いケースです)子に、「足をおしりに引きつけよう」と教えるのは簡単です。(そしてこれができるようになれば、文字通り『尻上がりに』フォームが良くなります)
ですが、もしかしたらその選手は、身体がとても硬いのかもしれません。ムリヤリ足をおしりに引き上げると、ヒザ関節が悲鳴をあげるかもしれないのです。
中学生ぐらいになると、こういった自分の身体の特徴を把握して、うまく調整ができるようになります。小学生はまだその力は未熟です。コーチのアドバイスを精一杯守ろうとして身体に負担をかけてしまう。
フォームのことを小学生に告げるのは難しい。そう思います。