リキむなと言えばリキむ−その1
小学生陸上選手に速く走るコツを教える。その時に陥りやすい、いわば『指導の落とし穴』があります。「効果のある言葉」と、「もっとひどくなる言葉」がある。日々そう感じています。
その1つが「リキむな!」
コーチに大きな声でそう叫ばれると、選手は必ずリキみます。小学生はまだ、リキまない走り方は意識してはできません。だから「リキむな」と言われてもどうすればリキまないのかが分からない。
「リラックスしろ!」も同じ。
(リラックスしなくちゃ)と焦りに焦り、リキんでしまう。
オリンピックに出た選手が、思うような結果が出なかった時にインタビューに答える。その時、一番多い返事が「リキんでしまいました」「無駄な力が入ってしまいました」。
大学の先生がそんな分析をしたらしいです。一流アスリートでさえそうなら、小学生がリキまないわけがありません。
では、リキんでいる小学生にどんなアドバイスをすればよいか。
別の視点を与えるのがひとつの効果的な方法です。
リキんでいる時は呼吸が止まっていることが多いので、「息をはいて」がいいかもしれません。息をはいたら自然に吸える。
呼吸が整えばリキみも減るでしょう。
もう一つの提案が「重心を上げる」ような言葉。
でも
これが難しいのです。重心は目に見えないし、走っている最中の小学生には「ジューシンをあげろ」と聞こえる。プロレスファンの小学生なら(サンダーライガーがいるの?)と思うかもしれません。
それぐらい『重心』という言葉は聴き馴染みがない。 (続く)