応援される、ということ
国体の県代表選考会を兼ねた陸上岡山県選手権大会が6月24日にシティライトスタジアムで行われ、女子400mで正木 紗(まさき さら)選手(朝日高)が55秒89をマークし、自己新で初の頂点に立った(山陽新聞6/25より抜粋)
この記事を読み、私の胸は懐かしさであふれました。6年前。小6の正木選手がOJACで練習していたその姿を思い浮かべました。コーチの目を見て話を聞く子でした。競技場で他の人の走りを見ていました。大会では視線で仲間の応援をしていました。
4年前。彼女が中2の時に書いた作文が県の冊子に掲載されました。許可を得てここに紹介します。
『人として成長するために』 正木 紗 岡山市立京山中学校2年:当時(岡山県教育委員会発行 教育時報2019年8月号)
「応援される人になりなさい」これは、小学生の時に所属していた陸上クラブのコーチが口にしていた言葉です。その時の私は、この言葉の意味が分かりませんでした。そのため、とにかく速くなろうと一生懸命に練習しました。その成果は意外と早く実を結び、表彰台の一番上に立つことも少なくありませんでした。
中学生になると、私は迷うことなく陸上部に入部しました。けれども間もなく、足を痛めてしまいました。しかし、速くなりたいという一心で痛めた足で走り続けてしまいました。結局一年間、決勝に残ることすら難しくなっていました。また、気持ちも後ろ向きになり、自分のことしか考えられなくなっていました。
そんな私のことを、家族や先生、仲間は応援し続けてくれました。その応援で、私は自信や勇気を取り戻すことができ、とても嬉しかったことを覚えています。この時に「応援される人」という意味が少し分かったような気がしました。
私自身、結果ばかりに目を向けていて、スポーツをする上で一番大切な「心」を見失っていました。スポーツは喜怒哀楽を楽しみながら、相手の健闘をもたたえるものだと思っています。これができていない人を、応援しようと思うはずがありません。人として、選手として、もっと成長するために、挨拶や返事などの当たり前のことをきちんとこなしていきたいです。そして、仲間やライバルのことを応援し、応援される人になりたいです。
この作文には、大切なことが書かれています。私たちはクラブの子らに「応援される人になろう」と口を酸っぱく言い続けてきました。ですが、『応援されるとはどういうことか』『どうすれば応援される人になれるか』を詳しく話すことはありませんでした。選手ひとりひとりが考えて、いつか自分の考えを見つけてくれたらいいなと思っているから。正木さんの作文には、まさのその『自分で見つけた』応援される人とはどんな人か、の答えがはっきりと述べられています。
山陽新聞の記事は次の文章で締めくくられています。
〇〇高校最後のインターハイは400mと1600mリレー2種目に臨む。「仲間に連れて行ってもらった舞台。走りで返すことが一番の仕事」。朝日高の女子主将の目は、もう前だけを向いている。〇〇
インターハイの陸上競技は、8月2日に札幌で開会を迎えます。