論語でジャーナル’25
「グループエンカウンター」で体験したエクササイズをいくつか思い出しています。
ファシリテーターは國分康孝先生が全体の流れを司り、久子先生が個別の対応をなさいました。
#導入エクササイズ
自分のペンネームを書いたゼッケンを首にかけます。私は「成駒屋」でした。ほんとは「澤瀉(おもだかや)屋」にしたかったのですが、咄嗟に漢字が思い出せなくて、思いついたのが当時の中村鴈治郎(故・坂田藤十郎)さんで、これにしました。
1,フロア歩き
1)各自、自由に歩きまわる。
2)出会う人全員と握手する(しっかり相手の目を見て)。
3)ペアを組む。これはそばの人を直ちに確保しないと、ボーッとしていると1人取り残される(笑)。
4)ブラインドウォーク。ペアの1人が目をつぶり、もう1人が誘導しながらフロアを無言で歩く。人とぶつかりそうになったら、言葉を発しないで、体でやさしくリードしてあげる。
2,ペアワーク
1)相互に「相手について知りたいこと」を聞き合う。
2)視線会話。黙って1分間、目だけでコミュニケーションする。(1分)~感想を言い合う。
3)手による会話。目を閉じて両手を握り合い、手で会話する。(2~3分)~感想を言い合う。
3,4人ワーク
1)自分のパートナーを他の2人に紹介する。
2)自分が変わったと思える体験を語り合う。
3)社長になりたいか副社長になりたいか、早婚がいいか晩婚がいいか、語り合う。
4)共同作業:コップの用途について際限なく出し合う。
5)非言語コミュニケーション:共同絵画(無言で1枚の絵を描きあげる)。
・・・ここまでは学校のホームルームやグループ活動に応用できます。
#エゴグラムによる自己分析
「交流分析」が一世を風靡していたころで(今も健在なのでしょうが、アドラー心理学の世界に移動して以後の様子は不明)、國分先生は、精神分析をベースにしながら、ロジャース心理学、交流分析、論理療法などをケースに応じて、自在に使いこなされていました。のちに、私はアドラー心理学に移りましたが、アドラーでは、野田先生から「技法の折衷・借用はあるが、理論の折衷は不可能」と教えられました。また、「自己分析」は初心者はしないようにと。自分の髪の毛を引っ張ってジャンプしようとしているようなものだから。人に引っ張ってもらえばすぐジャンプできる。でも「自己点検」はしないといけない、と教えられました。
このエンカウンターで、國分先生は「エゴグラム」という「交流分析」の技法を使われました。ただし、注意事項として、「誰か他の人に見てもらうこと」を強調されました。こういう形で、「自分の認知バイアスを自分の認知バイアスで見る」ことがないように、注意されたのだと、今は思います。
「交流分析」では自我状態を、P(親)・A(成人)・C(子ども)の3つに分けます。Pは親的役割の人を模倣した行動、思考、感情、Aは「今ここ」での直接の反応としての行動、思考、感情、Cは子ども時代の反復をしての行動、思考、感情です。PとCはさらに機能を考えて、それぞれCP(支配的親、FP=父的親)・NP(養育的親、MP=母的親)、AC(順応した子ども)・FC(自由な子ども)に分かれます。
「エゴグラム」を作るための質問がたくさんあります。
──以下の質問に、はい(○)、どちらでもない(△)、いいえ(×)でお答えください。
1,CP(厳格な親の心)
1)子どもや妻(あるいは夫)が間違ったことをしたとき、すぐに咎めますか?( )
2)あなたは規則を守ることに厳しいほうですか?( )
3)最近の世の中は、子どもを甘やかしすぎていると思いますか?( )
4)あなたは礼儀・作法にうるさいほうですか?( )
5)何事もやりだしたら最期までやらないと気がすみませんか?( )
6)自分を責任感の強い人間だと思いますか?( )
7)小さな不正でも、うやむやにするのが嫌いですか?( )
8)「ダメじゃないか」「……しなくてはいけない」という言い方をよくするほうですか?( )
9)時間やお金にルーズなことが嫌いですか?( )
10)良い悪いをはっきりさせないと気がすまないほうですか?( )
2,NP(優しい親の心)
1)人から道を聞かれたとき、親切に教えてあげますか?( )
2)頼まれた大抵のことは引き受けますか?( )
3)友人や家族に何か買ってあげることが好きですか?( )
4)子どもがよくほめたり、頭をなでたりするほうですか?( )
5)他人の世話をするのが好きなほうですか?
6)他人の短所よりも、長所をほめるほうですか?( )
7)人が元気をなくしていると、慰めたくなるほうですか?( )
8)子どもや妻(または夫)の失敗に寛大ですか?( )
9)あなたは思いやりがあるほうだと思いますか?( )
10)経済的に余裕があれば交通遺児を引き取って育てたいと思いますか?( )
3,A(理性的な大人の心)
1)あなたは感情的というよりは、理性的なほうですか?( )
2)子どもを叱る前に、よく事情を調べますか?( )
3)何かわからないことがあると、人に相談してうまく処理しますか?( )
4)仕事は能率的にテキパキと片づけていくほうですか?( )
5)あなたはいろいろな本をよく読むほうですか?( )
6)子どもを躾けるとき、感情的になることは少ないほうですか?( )
7)物事は、その結果まで予測して、行動に移しますか?( )
8)何かするとき、自分にとって損か得かをよく考えますか?( )
9)体の調子のよくないときは、自重して無理を避けますか?( )
10)育児について、妻(または夫)と冷静に話し合おうとしますか?( )
4,FC(自由な子どもの心)
1)うれしいときや悲しいときに、すぐ顔や動作に表しますか?( )
2)あなたはよく冗談を言うほうですか?( )
3)言いたいことを遠慮なく言うことができますか?( )
4)子どもがふざけたり、はしゃいだりするのを放っておけますか?( )
5)欲しいものは、手に入れないと気がすまないほうですか?( )
6)映画や演劇など娯楽を楽しめますか?( )
7)我を忘れて子どもと遊ぶことができますか?( )
8)マンガの本や週刊誌を読んで楽しめますか?( )
9)「わあ」「すごい」「かっこいい!」などの感嘆詞をよく使いますか?( )
10)子どもに冗談を言ったり、からかったりするのが好きですか?( )
5,AC(自分を抑える子どもの心)
1)あなたは遠慮がちで、消極的なほうですか?( )
2)思ったことを言えず、あとから後悔することがよくありますか?( )
3)無理をしてでも他人から良く思われようと努めるほうですか?( )
4)あなたは劣等感が強いほうですか?( )
5)子どものために、どんなイヤなことも我慢しようと思いますか?( )
6)他人の顔を見て、行動するようなところがありますか?( )
7)本当の自分の考えより、親や人の言うことに影響されますか?( )
8)上の人や子どものご機嫌をとるような面がありますか?( )
9)イヤなことをイヤだと言わずに、抑えてしまうことが多いほうですか?( )
10)憂鬱な気分や悲しい気持ちになることがよくありますか?( )
※採点方法:○=2点、△=1点、×=0点
(『こじれる人間関係──ドラマ的交流の分析』、杉田峰康、創元社2000、P218~220)
#エゴグラムによる自己分析(点検)のまとめ
1)学習の転移(ワーク後の日常生活への)を良くするには、気づき(洞察)があるほうがいい。
2)グループ体験の効果
・人前でうまくものが言えなかった人が、「言えるし、言わないでもいられるようになる」。抑制がきくということは「自由」であるということ。
・泣くばかりが感情ではない。笑えるようになってもよい。(これはアドラー心理学はお得意。笑いのないカウンセリングなんてありえない。)
・「役割」が人を変える。役割は「防衛」にも使える。(これは深く納得。職場でも「役割」に専念することで救われたことが多々ある。)グループワークの中では、従来の自分の役割を捨てることができる。
・「不決断」の人には、「失愛恐怖」が多い。こういう人は、“シェイムアタッキング”が有効。人のイヤがることをやってみても、世の中は思ったほど恐くない。このエンカウンターで親しくなった東京のO君という若者は、翌日、この会場へ来る電車が四谷に近づいたとき、車内を歩きながら、「次は四谷ー」と言ってみたそうです。何事もなかったとも。
#対決できなかった体験を語り合う(1人2分)~自己主張訓練
1)紙つぶてを投げ合う
「No!」「俺はイヤだ!」などと言いながら、10回ずつ投げある。日常、感情を抑制している人には、良い体験です。日常生活でやるとトラブルを起こしますが、ワークの中で仲間に許容されていると安心してやれる。
2)頼みごとを断り続ける(5分)~妥協案で承諾(1分)
日本人は、断るのが苦手です。欧米人は、はっきり「No!」を言います。あれは見ならいたいです。初めに断っておくと、あとでトラブルがありません。安請け合いして、応じきれなくなって、結局、途中で投げることが、自分にもよくありました。これは、『老子』がアタリですね。「それ軽諾は必ず信少なく、易し(やすし)とすること多ければ、必ず難き(かたき)こと多し」。
3)ケンカ(5分)~妥協点を出して和解
このワークで、私はステージの國分先生に呼ばれました。なんと、國分先生とケンカをする役をちょうだいしました。國分先生が学校の先生で、私は、文句を言いに来た保護者(父親)の役割です。とにかく5分間は、わけのわからないことを文句を言って、國分先生を困らせる役です。理屈はいりません。「うちの子になんであんな目にあわせた!」くらいから始まりました。國分先生がそれなりの理由を言いますが、こちらは全面否定して「悪いあの人、かわいそうなわが子」をやりました。私の演技はけっこう迫力があったと、あとでフロアーから聞きました。國分先生のコメントは、「ケンカも必要ならすること。しないと“未完の行為”としてシコリが残る。義憤は望ましい」と。(つづく)