裏第三話 俳壇クエスト
とある晩のこと、あたしがルイーダの酒場のカウンターで、焼酎のお湯割り梅干し入りを飲んでいると、隣りに人相の悪い旅人が座った。そして、あたしにこう言った。
「姉さん、アンタなかなかの腕利きと見たけど、この町にはシキの秘宝を探しに来たのかい?」
「えっ?」
「それなら、この町から東へ15キロほど行ったダコツの洞窟の奥にあるらしいぜ‥‥」
「ダコツの洞窟?」
「ああ‥‥ただし、もの凄く手ごわいモンスターが、シキの秘宝を守っているんだ‥‥オレは9人の仲間とダコツの洞窟に行ったんだが、モンスターに全員殺され、オレひとり逃げて来た‥‥」
次の朝、あたしは、仲間の僧侶のカズオと魔法使いのモモコを連れ、ダコツの洞窟へと旅立った。
町から一歩出ると、さっそくモンスターたちが襲いかかって来た。
ピロピロピ~ン!
くさったホトトギスがあらわれた!
くさったホトトギスがあらわれた!
ボーッとしたウオザがあらわれた!
くさったホトトギスAのこうげき!
くさったホトトギスAはつきなみなはいくをよんだ。
ゆうしゃきっこはダメージをうけなかった。
くさったホトトギスBのこうげき!
くさったホトトギスBはるいそうるいくをよんだ。
じぶんがダメージ37をうけた。
くさったホトトギスBはたおれた。
ボーッとしたウオザのこうげき!
ボーッとしたウオザはねむくなるはいくをよんだ。
カズオはねむってしまった。
モモコのこうげき!
モモコはキャッカンシャセイのじゅもんをとなえた。
カズオがめをさました。
ゆうしゃきっこのこうげき!
ゆうしゃきっこはニブツショーゲキをつかった。
くさったホトトギスAに86のダメージをあたえた。
くさったホトトギスAはたおれた。
ボーッとしたウオザに57のダメージをあたえた。
ボーッとしたウオザはたおれた。
ピロピロピ~ン♪
ゆうしゃきっこはレベル37になった。
ゆうしゃきっこは28ゴールドをてにいれた。
ゆうしゃきっこはキョシのツボをてにいれた。
こんな戦いを続けながらダコツの洞窟の入り口に辿り着いた時には、あたしはレベル42、カズオは39、モモコは37になっていた。
そしてあたしたちは、洞窟に入って行った。
洞窟の中のモンスターたちは、外のモンスターよりも手ごわかったけれど、3人で力を合わせ、次々に襲って来る強敵を倒しながら、何とか一番奥まで到達した。
そこには、大きな石の台座の上に、金色に輝く箱が置かれていた。カズオが、その箱に手を伸ばそうとした時である。
ピロピロピ~ン!
じごくのシュギョーがあらわれた!
あくまのテイコがあらわれた!
まじんトウタがあらわれた!
シュギョーのこうげき!
シュギョーはまてんろうからもうどくのパセリをばらまいた。
ゆうしゃきっこは19のダメージをうけた。
カズオは22のダメージをうけた。
モモコは24のダメージをうけた。
モモコはもうどくにおかされた。
テイコのこうげき!
テイコはあかいセーターをきた。
テイコのしゅびりょくが35あがった。
トウタのこうげき!
トウタはキゴムヨウケンをつかった。
ゆうしゃきっこは25のダメージをうけた。
カズオは29のダメージをうけた。
モモコは33のダメージをうけた。
ゆうしゃきっこのこうげき!
ゆうしゃきっこはドクゼツケンをつかった。
シュギョーは35のダメージをうけた。
テイコは31のダメージをうけた。
トウタはこうげきをあたまではねかえした。
カズオのこうげき!
カズオはヘチマのミズをつかった。
ゆうしゃきっこのHPが25かいふくした。
カズオのHPが20かいふくした。
モモコのHPが24かいふくした。
モモコのもうどくがきえた。
モモコのこうげき!
モモコはオオハラザコネのじゅもんをとなえた。
シュギョーはモンモンとしはじめた。
テイコはモンモンとしはじめた。
トウタはじゅもんをあたまではねかえした。
シュギョーのこうげき!
シュギョーはモンモンとしている。
テイコのこうげき!
テイコはモンモンとしている。
トウタのこうげき!
トウタはニワじゅうにアオザメをよんだ。(註:梅咲いて庭中に青鮫が来ている)
ゆうしゃきっこは48のダメージをうけた。
カズオは55のダメージをうけた。
カズオはうごけなくなった。
モモコは58のダメージをうけた。
モモコはうごけなくなった。
ゆうしゃきっこのこうげき!
ゆうしゃきっこはキョシのツボをてんたかくかかげた。
ツボのなかからカオのおおきなまじんがとびだした。
まじんはこうてつのステッキをふりまわした。
シュギョーは105のダメージをうけた。
シュギョーはたおれた。
テイコは124のダメージをうけた。
テイコはたおれた。
トウタは155のダメージをうけた。
トウタはたおれた。
ピロリピロリピロピロリ~ン♪
ゆうしゃきっこはレベル45になった。
ゆうしゃきっこは384ゴールドをてにいれた。
ゆうしゃきっこはシキのひほうをてにいれた。
ルーラのつばさを使って町へと戻ったあたしたちは、さっそくシキの秘宝の入った黄金の箱を開けてみた。
すると中から、1本の巻物が出て来た。広げてみると、薄い墨で書かれた文字が現れた。そこには、こう書かれていた。
『この書を手にした者よ。貴殿こそが俳壇に巣食う三大魔人を倒した真の勇者であり、本物の俳句を後世へと伝承して行くための真実の俳人である。』
町中の人たちから拍手と歓声が巻き起こり、例のドラクエのテーマソングが流れ始めたのだ。
タ~タタ~タ~タ~タ~タ~タ~♪タタタタ~タタタタ~タ~♪
そして、腐りきっていた俳壇に平和が戻ったのであった。
めでたし、めでたしぃ~♪(笑)