裏第十二話 子宮筋腫
気がついたら、病院のベッドだった。
16日の仕事中に倒れ、2日間意識が戻らず、気がついたのは18日。検査の結果、子宮に大きな筋腫ができていて、すぐに摘出手術をしたほうがいいと言われた。
今月に入ってから2度も貧血で倒れ、なんかおかしいと思ってたんだけど、こんなに大変なことになっていたとは‥‥。
あたしには、肉親は母さんしかいないので、心配かけたくなかったんだけど、母さんに連絡して手術の同意書をもらわないといけないと言われ、お医者さまに手続きをしてもらった。
そして20日の火曜日、手術をすることになった。
筋腫の癒着がひどければ、子宮ごとの摘出になる。あたしは、お医者さまの説明を聞きながら、不安で涙が止まらなくなった。手術の前夜、ケータイで友達にメールしようとしたら、料金の支払いが遅れていて止められていた。怖くて心細くて色んな想いが頭の中を巡り、涙が止まらない。
そして手術の日の朝を迎えた。
結論から言うと、筋腫の癒着はそれほどでもなく、手術は筋腫の摘出だけで済み、子宮は無事だった。
でも、おへその下に15cmほどの醜いキズが残った。
主観だらけで、とても俳句とは呼べないけど、手術後の病室で詠んだ句を書いておこうと思う。推敲もしてないひどい句ばかりだけど、これが裸のあたしです(笑)
これからしばらくは、36万円もの手術代+入院費をどうするか、真剣に悩みつつ、客観写生に精進いたしますぅ~(爆)
子宮筋腫 18句
煌々として梅雨寒の手術室
夏蝶の飛んで全身麻酔かな
怖いよ…母さんはどこ黒揚羽
短夜や悲鳴を上げてゐる子宮
夏の夜の子宮筋腫を産み落とす
麻酔より醒めて五月の浜辺かな
海岸へゆくたましひや鉄線花
点滴の海に溺れて熱帯魚
夕焼やティッシュ一箱ぶん泣いて
病窓に小さき聖母や青葉潮
新緑や聖書の影を胸に抱き
痛みとは命の証かすみそう
病室に夏の月光満たしけり
たましひもからだもひとつ水中花
生かされてゐる柿若葉椎若葉
とうすみのちぎれるほどに交みけり
耳奥に五月の波音届きをり
もうビキニ着れぬ体となりにけり