長靴を履いた猫来る春の夢
>塗畦の直線増ゆる常陸かな 杜人
杜人さん、実に素晴らしい。猫髭三ッ星☆☆☆特選句です。常陸の国生まれとしても産土(うぶすな)を誇りに思える秀句です。
>畦を塗る長靴いち番似合ふ人 兎波
兎波さんも自分の菜園をお持ちなので能登の田の神と御一緒に地元ならではの風景を歌ってください。
去年、杜人さんにNHK俳句講座聞書 西野文代『爽波ノート』から「農のくらし」を御紹介しましたが、もう一度再掲載します。杜人さんは「農の一年」を定点観測の道と出来る環境に恵まれていますから。
波多野爽波は「歳時記をつらぬくもの、それは農のくらしを含めた自然、即ち農耕文化です。その農のくらしへと、自分から身をすりよせて行きたいものです。そのくらしの中心を占める米作りのざっとした一年を取りあげてみました。ひろがりのある季語を□で囲んでみました」と以下のように記しています。猫髭註:線で囲めないので隣に😀マークを付けます。
田打
↓
種選・種浸し・種井(池)・種俵
籾😀
種蒔(種下し)
苗代😀・水口祭😀・種案山子
↓
畦塗・代田・溝浚へ・代掻牛
早苗
↓
田植😀・早乙女・早苗饗
↓
植田・田草取(一番草・二番草)
↓
青田
↓
稲の花😀
↓
早稲
豊年・鳴子・稲雀・案山子・鳥威
↓ 毛見(検見)
落し水
稲刈😀・稲架・落穂
稲扱・籾干😀・籾筵・籾磨
↓
新米
新藁(今年藁)
藁塚
藁仕事・縄なふ
(以上の繰り返しです)
溝浚ふところを登り蝉丸社
納戸に灯一つ垂れをり田水張
帳場から見ゆる限りや秋収
出穂の香や蟹が出て来る物語
青稲や老いては肩のひん曲り 爽波