この夏の余りの暑さに汗は出るが俳句が出ない。この句は昔阿佐ヶ谷に合った「チャンピオン」というめちゃくちゃ創作料理がおいしいボクシングの日本チャンピオンと俳人の奥さんがやっていた店で一階も二階もまさしく昭和のアングラっぽいレトロな雰囲気のバーが詰め込まれたビルで、今はビルごと取り壊されたが、中野の煉瓦坂を上る途中のスペイン料理屋が「チャンピオン」の息子がシェフをやっている店で昔のメニューを言うと作ってくれるのでいつも一杯で予約満員の店になっているが、昔の店は新人の名もない映画の広告が壁にぺたぺた貼ってあったシュールな店で、そこで俳句の二次会をやるというのもシュールだった。上の句は即興句会で壁に貼ってあった「ギラギラ」という前衛映画のチラシを見て詠んだ句で点が入ったので覚えている句で、だいたいわたくしの自分の句の記憶は師匠や先輩が採ってくれた句の記憶で、自分でいいと思った句は採られた試しがないのですぐ忘れるが、採られた句は結構覚えている。ただし、尊敬する俳人に採られた句に限り、嫌いな俳人に採られた句は汚れた句を詠んだようで落胆して捨てて忘れるけどね。おいおい。