青空を地を吹きすさぶ虎落笛
今日は朝から虎落笛が鳴り響き、台風でもないのに烈風が止めてある自転車を軒並み倒し、道路をプラスティックのごみ箱が吹き飛ばされて転がってゆき、下井草図書館のアンネの薔薇も石神井川沿いの南田中団地の三本の万朶の山茶花もことごとく吹き飛ばされていた。昨日の天気予報では快晴ということだったが、お婆さんが風におっぺされてクの字になって転げそうに小走りになっていたので出歩くのは危ない風だった。わたくしのお客は障碍者専用の団地に囲まれた一角なので、周りの団地が風除けになっていて洗濯物は飛ばされなかったが、庭に干していた毛布は吹きつけられた枯葉だらけで取り込むのに難儀した。
雪が積もるとホームヘルパーは自転車が使えないので休みになるが、わたくしは行けるところまでバスで行ってあとは歩きで一人暮らしのお客までたどり着くが、雪国では積雪が深いので徒歩で行くとなるとかなりの体力が必要となるだろう。まして地震で道路が寸断されている雪の能登半島などホームヘルパーのケア(介護)に雪掻きは含まれないのでお客のケアはどうなるのだろう。わたくしは一人で六軒の雪掻きをやったことがあるが、骨盤がずれて往生したことがあり、頑丈なわたくしでさえそうだったから、雪国のホームヘルパーは鉄人28号並みの体力でないと務まらない。雪国育ちではないので雪道の歩き方も知らないから足が持たないのである。一度雪国のヘルパーの活動を見たことがあるが、自分には体力的に無理だと頭が下がる思いだった。一人では歩行困難な人たちはホームヘルパーが守るしかないが、救助活動はケアには含まれないので会社は無理して事故にあっても自己責任で労災が下りないから、救助されてからのケアにならざるを得ない。踏み台に乗って電球を替えることすら禁止されている。人の手を借りないと歩行もままならない人たちを医者から看護士からヘルパーまでネットで情報を共有するシステムはわたくしの担当している杉並区でも立ち上がりつつあるが、個人情報の扱い(個人名はわからないようにしている)や病院同士の組織の相違で一部の有志のみというのが実情で、大病院ほど顧客ファーストの意識が薄いのが残念である。病院は治療(キュア)がメインで人ではなく病気しか見ないからだ。わたくしは日本初の養老院である「浴風会」でヘルパーの資格を得たので病院と介護施設が一体化したシステムが津々浦々に広がることが医療と福祉の当たり前の姿になってほしいと願っている。世界中で戦争へ向かうきな臭い諍いが増えているが、そんなことしてる場合じゃねえだろうと思っても、
人類に空爆のある雑煮かな 関悦史
で、否応なく巻き込まれてゆく状況が日増しに濃くなっている。
俳句は世界で一番幸せの目線が低い文藝である。
犬ふぐり星のまたたく如くなり 高浜虚子
虚子の句ではわたくしの一番好きな句かもしれない。
写真は猫髭式「バッファロー・チキン」。