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スレッドNo.396

波の子の栄螺最中や十六夜

>火を落とし十六夜(いざよひ)の陶窯(たうえう)黙す 兎波

眠兎さんの昔から思っていたのですが、兎波さんは定型律の五七五に収まる句は絵画的でまざまざと見えるような描写が素晴らしいと思うのですが、句跨りの句は舌頭千転とは行かず閊(つっか)えるのが不思議でした。
五七五だと、

  火を落とし/十六夜の陶/窯黙す

で切れるから五・十二で/十六夜の陶窯黙すと一気に読ませるのでしょうが、陶窯が耳慣れないし「黙す」という擬人化もこなれない。前の句のハジメ2018さんの、

 秋涼し葉脈黙して交われり

の「黙す」をつないだのでしょうが「葉脈黙して」は擬人化という詩的用法ですが、葉が野分で騒ぐとか白く裏返るとかはイメージ出来ても、葉脈が黙すと言われてもじゃあ「くっちゃべってる葉脈持って来い」とプレバトの夏井いつき先生に言われても困るように、あ、あと「交われり」は「交はれり」ですよとついでに怒られて終わりですから、葉を見て詠んでいるのではなく想像で詠んでいる左脳句の見本として、前の

  葉脈を滑る雨粒秋の虹 ラスカル

と比べられて「葉脈を滑る雨粒」の雨の止みかけた空にかかる「秋の虹」まで想像させる右脳と左脳の交じり加減が絶妙な客観写生が最終的には主観写生の詩になるプロセスの参考例にされてしまいます。甘いんだけどね、その甘さのファンが多いのよ。

  中身より景品目当て露時雨 ハジメ2018

も「景品目当て」なら「中身より」は言わずもがなでここにどんな景品かを具体的に書けば本当にハジメ2018さんの体を通った言葉として読者にも、そう言えばあのチョコレート食べて綺麗な石を送ってもらったといった読者のあるある体験を呼び覚ましてハジメ2018さんだけの個性が出るのです。ついでに青空掲示板でわたくしが着想が面白いと褒めた「くるみ割る人形の歯は百年もつ ハジメ2018」を「下五は、医師いらず、医師知らずが収まりが良いと思いました。」って、それは昔から言われている常套句でしょうが。あなたの体を通った言葉でなければ俳句にはならないのです。着想は面白いのに着地が論外では論外ですよ。きっこさんがハジメ2018さんの句に触れられないのは頭の中で弄くりすぎて盛り沢山だからなのではないでしょうか。わたくしも散々言われました。もっと薀蓄捨てて馬鹿になれって。(*^▽^*)ゞ。

あ、関係妄想で脱線した。どこまでわせた(行った)クルリンパと(笑)、火を落とした窯が冷えてゆくのを「黙す」とつないだのなら、そのまま事実を詠んであとは季語に託せばいいではないですか。

  窯の火を落とし冷めゆく十六夜(じふろくや)

十六夜には兎波さんが詠んだようにいざようという意味がありますから釜の火を落とせば冷えるのは当たり前すぎますが、兎波さんが能登に暮らすまでの猶予(いざよ)う歳月もまたそこには込められるので、十六夜の十六年以上の思いもこの季語が受けとめてくれるとわたくしは思います。

あと、

  パンパンの明日には細るお月様 兎波

には春本の話をしたので「パンパン」にぎょっとしました。いずれ「ねずみ部屋」が復活した暁には高浜虚子賛嘆して置くあたわざりしものも陳列いたす、かも。(*^▽^*)ゞ。

引用して返信編集・削除(編集済: 2022年09月11日 19:54)

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