人肌の燗酒女将冷え性か
昨日今日と青空に雲ひとつない快晴で、これでは雲おじさんの杜人さんもお手上げだろうと思ったらやっぱり。(*^▽^*)ゞ。
コロナ以前は吉祥寺の「酒房豊後」に通っていた。「豊後」が吉祥寺のガード下にあった頃に学生時代飲みに行っていた級友とここで待ち合わせて酒を酌み交わすこともあった。五十年前で女将が子育てで休みで店主がやっていたが、数年前に他界し女将が今はひとりでやっている。マツコDXが『夜の巷を徘徊する』で「豊後」に立ち寄って大分県臼杵市にある創業万延元年(1860年)の「久家本店」清酒「一の井手 上撰」を「きらずまめし」(おからを出汁と酢で炒って青魚の刺身と和えた臼杵名物。きらずというのは雪花菜と書き、お空を忌んで切らずにすむからきらずで、まむしというのはまぶすという臼杵弁)を肴においしいとお替りしたので、マスコミの来る店は敬遠していたが、いつもの常連ばかりだというので、また通い始めていた。「一の井手 上撰」を雀(二合)小雀(一合)と句友が名づけた徳利で熱燗で飲むのがわたくしのスタイルである。
無垢板に燗人肌と雪花菜かな 猫髭
は「酒房豊後」に捧げた句である。コロナになって以来、わたくしはヘルパーなので職業柄ヘルパー危うきに近寄らずでもう三年も行っていないが女将は元気なのだろうか。
酒場への理由無き迫害が緩んだので、荻窪の屋根裏バル「鱗(こけら)」に今週顔を出した。まだ開店したばかりの俳人喫茶店(夜はバー)で村上鞆彦と津川絵理子の著名俳人がいる結社「南風」所属の俳人野村茶鳥(ちゃとり)さんが店主をしており、ハイヒール句会の先輩馬場龍吉さんが句集『ナイアガラ』(北辰社2800円)を上梓したのでそのお祝い会である。わたくしは俳句世間からは引退して久しいので十年ぶりくらいの再会だが、きっこ特選句が何句も入っていて、わたくしの初吟行も龍吉さんに誘われてだから初めて読んだとは思えない旧知の佳句が並び、やはり角川俳句賞をとっただけの実力が漲る句集でした。
うすらひや露西亜の船の鏡文字 馬場龍吉
さへづりや馬穴で運ぶ御御御付(おみおつけ) 同上
はきっこ特選句だと合点する読者もいるでしょう。
「鱗」の訪問者ノートにサインしてくれと言われたが、ハイヒール句会の第一回から参加していた水星人さんの名前もあって、俳句世間を引退した身なので知り合いに会うのも億劫なので通りすがりのヘルパーということでパスしたが、ビールに日本酒にシャンパンにスパークリングワインで猫髭節が面白いと初対面の客も寄って来てちゃんぽんどんちゃんになってしまったのは盛り上げ過ぎたか。(*^▽^*)ゞ。
写真は紫式部。まだ成っていたんだ。龍吉さんの句集から
日本の色はむらさき式部の実 龍吉
を思い出してパチリ♪