◆ 案山子さま かもめ ◆
木犀やけふもひとりのひと間なり
空白の日記や昨夜の月重く
障害といふ二文字や曼珠沙華
秋冷の片足でとる新聞紙
ふと見れば吾ももへじや案山子さま
案山子さま吾は一人で立てませぬ
新米の炊けて乾燥注意報
からつぽの湯呑転げて今年米
笑ふことそれが大事とすいつちよん
新走酌めばサタデーナイトかな
弁当にりんごのうさぎ体育の日
団栗や体操してる駐在所
面一本竹刀の音や天高し
点点で終はるメールへ月の雨
錦木やひたいに白き濡れタオル
解熱剤ゆるりゆるりと通草かな
ゆめも青うつつも青や渡り鳥
光差す雑木紅葉や咳ひとつ
松毬の青く祝の届きけり
さやけしやまためぐりあふ山のいろ