◆ 時計草 ナナ ◆
どうしても枇杷へ届かぬ脚立かな
朝採りの緑るんるん松葉独活
紫陽花や藍にけぶれる六甲山
この路地の紫陽花みんな同じ色
夏暖簾わけてひと言残しゆく
母の忌や垣に大きな時計草
ゆつくりと刻ながれゆく新茶かな
宇治川をのぼる蛍のほーいほい
潮風の運ぶ潮騒夕蛍
熊蝉の揺さぶつてゐる朝かな
梅干すや境目のなき空と海
灯台を螺旋に消ゆる夏帽子
備長炭つるして音色涼しかり
この狭き空間が好きラムネ玉
炎昼や鴉退治の網長し
萬緑へくだる鞍馬の木の根道
ペコちゃんのうふふふふふふ暑気払ひ
ナイターのレッドスターは盗塁王
紫陽花の彩を尽くすやゴッホ展
葛切やダムにすつぽり夕日落つ
蝉しぐれ納骨堂を閉ざしけり
坂越ゆる二百十日の胡弓かな