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スレッドNo.16

走り梅雨麒麟の首のおよぎくる 爽波

投稿日: 2月 2日(月)00時10分13秒

昭和56年の第二句集「湯呑」におさめられている句です。
動物園で、キリンの首が近づいて来る様子を「およぎくる」と表現している部分が眼目のようですが、その眼目を際立たせている「走り梅雨」を忘れてはいけません。
走り梅雨と言うくらいですから、場合によっては傘も不要な程度の雨なのです。
しかし、空は一面の雨雲で、キリンのタテガミはしっとりと濡れています。
近づいて来たキリンの顔を見ると、長いまつ毛に水滴がいくつもついています。
その様子が、水の中を泳いで来たように見えたのです。
湿度をたっぷりと含んだ空気感が、まるでキリンも作者も水中にいるように感じさせます。
季語と描写の織りなす第三のイメージが、読み手を不思議な世界へと誘ってくれます。

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