MENU
3,659

スレッドNo.76

五山の火燃ゆるグランドピアノかな 爽波

投稿日: 2月10日(火)02時26分5秒

第四句集「一筆」におさめられている句です。
「五山の火」と言うのは、大文字焼きに代表される京都の「五山送り火」のことで、「大」の文字の他にも、「妙法」の文字や鳥居、船を形どった火などが次々に点火され、燃え上がります。
「大文字」と言わずに「五山の火」と言っているのですから、漆黒のグランドピアノには、複数の火が映っているのでしょう。それでも「燃ゆる」と言っているのですから、京都盆地の中央辺りではなく、山の迫った場所を感じさせます。
俳句では、「水面に映った月」「瞳に映った風景」など、対象を間接的な視点で詠むことは良くありますが、そのほとんどは類想です。
しかし、グランドピアノに映った送り火の新鮮さは、15年以上も経った今でも、読み手のスクリーンに美しく映し出されるのです。
そして、弾き手のいないピアノから、精霊たちのために、幻想的なノクターンが流れ出すのです。

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top