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スレッドNo.78

お十夜の柿みな尖る盆の上 爽波

投稿日: 2月11日(水)17時19分32秒

第二句集「湯呑」におさめられている句です。
お十夜の供物は、その種類や数など、それぞれの土地によって様々です。
たとえば、お餅と柿と大根の3種をそれぞれ5つづつ、と言ったように、細かく決められています。
しかし、その土地で収穫されたものを供える、と言う点だけは共通しています。
丸い柿なら、へたを上に向けて並べますが、尖った柿ですから、向きを揃えてきれいに積んであるのでしょう。
「みな」と言っているのですから、3つや5つではなく、もう少し多い数の柿を思い浮かべます。
そうすると、普通の大きさの柿ではなく、小型の「筆柿」なのかも知れません。
月並みな景であっても、中七の秀逸な写生によって、十夜念仏が聞こえて来るようです。

ひとみさんの取り上げた弓始の句、しかり、俳句に良く詠まれる対象だからこそ、爽波の写生の目が、他人とは違った部分や他人よりも細かい部分を捉えていることが分かります。

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