◆ハイヒール句会◆ ☆ 第3回 三月句会「雛祭」☆ ◆きっこ入選◆
◆ 春の空カラマツ林あおみさし 葦樺
○俳句では、表記がとても重要です。カラマツを漢字で「落葉松」と書くと、もっと良くなりますね。
◆ 藪椿いやになるほど落ちてをり ハジメ
◎中7に思い切り主観を出していることが、かえって面白さを引き出していますね。とても良い写生句です。
◆ 春愁や警察官の巡回す 哲仁
○不思議な感覚のある面白い句ですね。植物などの目に見える季語にして、もっと現実的な景にすると、さらに良くなるでしょう。
◆ 雛の夜の母の語りを聴いて果つ えみ
◎お母さまの子供の頃のお雛様にまつわる話を聞いてあげたのでしょうか?とても暖かみのある良い句ですね。
◆ 残る鴨青き藻屑を曳きゆけり ひろみ
◎問題なく特選句のレベルなのですが、どうしても「青みどろひきずり来たり亀の首/辻桃子」を連想してしまい、泣く泣く入選にさせていただきました。ごめんなさいね。
◆ 春風に待合室のニュースかな ちかこ
○「春雨」なら悪いニュースを連想しますが「春風」ですから、きっと良い報せなのでしょう。想いを季語に託している良い句ですね。
◆ 春うらら眠れる美女にエレキバン ぱふぱふ
○こう言った題材は、できる限り雅やかに詠いましょう。例えば「うららかや眠れる美女のエレキバン」と詠っていただければ、数倍良くなります。
◆ 雛の日やバッグの中に丸きもの ののこ
〇とってもかわいらしい句ですね。「丸き」は「まろき」と読みたいですね。「に」が「の」であれば◎の句ですね。
◆ 雛の宵しばし灯りや五目寿司 可津美
〇中7の表現がもう少し分かりやすくなれば、もっと良くなりますね。
◆ 啓蟄や芝刈り機具の試運転 ふじけん
◎主観を省き、季語とモノとコトだけで、土や草の匂いまでして来ます。骨組みのしっかりした、とても良い句ですね。
◆ 兄一人雛の宵に生まれしと なつみ
◎何でもないことでも、雅やかな詠み方をしているので平安絵巻のように感じてしまいます。兄が生まれた時点では、まだ作者は誕生していないと言うことを句末の「と」がしっかりと詠っています。
◆ 一口のジャムの残りや春炬燵 水星人
○取り合わせはとても良いのですが、炬燵の上にジャムがあるのでしょうから、もう少し切れが弱ければ、と感じました。
◆ スーツ着て桜の蕾見る人ぞ はな
○本格的なお花見ではなく、営業回りのサラリーマンのちょっとした憩の時間ですね。蕾と言う言葉から、初々しい新入社員を想像します。
◆ 色々な出会いと別れしゃぼん玉 まさし
○美しくも儚い「しゃぼん玉」と言う季語と、描写がとても良く響き合っています。
◆ ベランダにゴミ袋鳴る春嵐 むらびと
◎上5中7の描写はとても良いのですが、季語が答えになってしまっています。もったいない句ですね。
◆ ひとすぢの帯解かれゆく春の湖 こう
◎今回の最高得点句なのですが、あたしにはこの描写が、水鳥か何かの水尾(みお)の様子を帯に見立てているのか、実際に誰かが着物を脱いでいるのか、今ひとつ分かりませんでした。「ひとすぢの水尾解かれゆく~」であれば、間違いなく特選にいただいていました。
◆ 海鳴りに消さるる祝詞雛送り ナナ
◎とても良くできた句なのですが、「海鳴りや袖ゆたかなる享保雛/浦川聡子」を思い浮かべてしまいました。
◆ 春日和土手より川のボラ騒ぎ のらちゃん
○「土手より」と言う表現が、土手からボラを見ているのか、土手で遊ぶよりもボラ見物をしているのか、ちょっと曖昧ですね。
◆ 春浅し仮病の子へとプリン買ふ 麻貴
◎「春浅し」と言う季語が「仮病」と言う言葉ととても良く響き合っています。子への愛情にプリンも揺れています。
◆ 海老天の尾の首(ぬし)いづく流し雛 一某
○「首」を「ぬし」と読ませるのは、少し無理があります。でも、季語の斡旋は秀逸ですね。
◆ 式服のボタン付け替ふ春の雨 かへで
◎ボタンを付け替えることにより、冠婚葬祭に対応する式服なのでしょう。季語の斡旋により、悲しいほうの式だと言うことが伝わって来ます。
◆ 墨の香や古人の春の歌 遊起
◎「古人」は「いにしえびと」と読みます。平安の和歌を書き写しているのでしょうか。とても春らしい句ですね。