◆ハイヒール句会◆ ☆ 第3回 三月句会「雛祭」☆ ◆きっこ特選☆◆
きっこ特選☆五句
蝙蝠の飛びこんでくる雛祭 倭瑠(しずる)
蝙蝠(こうもり)は「かわほり」とも読み、夏の季語になっていますが春に羽虫などが飛び始めると、それを食べるために出て来ます。
裏に山や森のある家なのでしょうか?部屋の灯りに誘われた羽虫を追って雛の間に飛びこんで来た蝙蝠。大騒ぎする子供達の姿が見えるようです。
右足も右手も私春の雪 さんちゃん
右足、右手と特定しているのですから、右半身の具合が悪いのでしょうか?
「~も~も」と言う、俳句ではあまり良しとされていない言い回しもこの右半身を特定した描写によって、とても深い想いを表現しています。希望を感じさせる「春の雪」が、作者の心情を代弁しています。
ももいろにゆきいろ混じり雛あられ 龍吉
白を「ゆきいろ」と表現し、さらに平仮名で表記したことにより雛あられの味だけではなく、口の中に溶けて行く感覚まで思い出させてくれます。そして、子供の頃の思い出が蘇って来ます。
囀やお城のやうなラブホテル jtak
東名高速で横浜インターに差し掛かると、ディズニーランドのシンデレラ城のようなラブホテルが林立しています。
小鳥達の囀りは、ご休憩じゃなくて、お泊りでひと晩愛し合った次の日の朝を表し、そしてもう一度愛し合う、恋人達の囁きのようにも聞こえます。
パンジーやのそりのそりと胴長猫 知香
庭に降り立った雀を見つけた猫は、そっと縁側から庭に降り背丈の低いパンジーに身を隠すように、耳を平たくして、少しづつ、少しづつ進んで行きます。でも、なぜか腰が引けていて、前足は進むのに後ろ足がなかなかついて来ません。なんだか、伸びきったアコーデオンのようです(笑)。