◆ハイヒール句会 第4回◆ ☆四月「春の水」☆ ◆きっこ特選☆五句◆
葱坊主背筋伸ばして海を見る ハジメ
背筋を伸ばして海を見ているのは作者なのに、まるで一列に並ぶ葱坊主たちもみんな揃って背伸びをしているように感じてしまいます。
気持ち良い海風に、心までシャキッとするようですね。
跳ね上がる鯉の力や春の水 えみ
魚と水の取り合わせは、普通ならツキスギになってしまいますが、この句の良さは、ありふれた題材である「鯉」を新しく詠っていることです。
鯉だけでなく、水にまで力強さを感じる句です。
箸置きの猫笑つてる春の水 さんちゃん
かわいらしい猫が、ごろんとした箸置きなのでしょう。
この春の水は、キッチンの水なのか、庭の池の水なのか、はっきりしていません。
しかし、どんな水であれ、猫の笑顔のように、春を告げる温い水なのです。
カステラにほのと湿りや花の昼 松太
カステラをフォークか何かで押してみたのでしょうか?
その弾力から、湿りを感じたのでしょう。
朝でも夜でもない、ぼんやりとした昼のひと時ですね。
ムスカリに脚長蜂やすつぽりと 遊起
ムスカリは、小さな壺を逆さにしたような形のお花です。
その中に脚長蜂がすっぽりと納まってしまっているなんて、とてもユーモラスな風景ですね。
写生のよろしさを感じる句です。