こう言えばそうなってしまう
歯が痛いとします。痛み止めの薬を飲むとひとまず痛みは止まる。そこでめでたしめでたし、とはならず、薬の副作用で眠たくなってしまうとか、食欲が減ってしまうとか。
そういうことがあります。
小学生に走るフォームを指導する。指摘した部分の動きは良くなるけれど、その反作用で別の部分のフォームが崩れてしまう。そういうことがあります。よくある。
「ひざを高く上げましょう」と言うとひざは高く上がるけれども、腰が落ちる。重心が下がってしまう。
「腕を大きく振りましょう」と言えばすぐにそうなるけれど、肩にガチガチに力が入る。リキんでしまう。
これが中学生くらいになると、ひざと腰の高さのバランスをとりながらうまく調整できるのでしょうが、小学生は、コーチに言われた部分だけを『そのとおりに』しようとするので、反作用が起きてしまう。
反作用の実例はまだまだ挙げることができます。
走り幅跳びで「踏切板に合わせよう」と言えば助走の勢いは消えてしまいますし、ハードルの越え方を指摘すればハードル間を駆け抜けるスピードはガタ落ちになります。
もちろん小学生陸上選手は、それらを無意識にしてしまう。全国大会に出るような子も、初めてトラックに立つ子もそれは変わりません。
小学生とは、そうした作用と反作用の間で揺れ動いている年代なのかもしれません。