OJACは【見る】クラブ
ストレッチの次は動きづくりを。
トラックに入ります。
「スキップを20mぐらい。はいスタート」
スキップのフォームは何も指導しません。腕振りも脚の運びもバラバラ。高さもみんな違います。スキップをするのが初めてで、そもそもどうするのか知らない子もいます。
「動きがいい選手がいる。あなた、みんなの前でやってみて」
いきなりコーチに言われてとまどったはずですが、彼は見事にさきほどと同じ動きを披露してくれました。
「どこがいいか自分で考えて。はいスタート」
2本目をやると、みんなの動きは変わりました。腕は大きく振られました。振り上げた脚は高くなりました。その当然の結果として、ジャンプの高さも増しました。
3本目は変化させます。
「背中で手をつないでスキップします。はいスタート」
腕振りが制限されたので、上半身が左右に揺れます。身体の軸がブレている。
「いい動きの選手がいる。あなた、頼む」
みんなジッと見ています。
やっぱりこの選手も、お手本という緊張感の高い状況でも変わらぬ良い動きを見せてくれる。
「どこがいいか、一人ひとりが感じ取ることが大事。コーチの感じたのは『足音』だ」
ドンドンではなくトントン
ズンズンではなくスッスッ
濁音がない。
重心が高い走りだからそうなる。
「自分の足音を聞きながら。はいスタート」
これで動きは変わる。足音が軽くなるのです。
見ること・聞くことで動きは変わる。特に小学生陸上選手は、その変化の角度が大きいようです。
そこにはもちろん、真剣に見て、聞いて、自分の動きを高めようとする選手の意識の高さがあります(なんとなく見ていても、何も気づかないし何も聞こえませんものね)。
この日(11/19 )、わたしが『いい動きの選手』に近づいて「はいあなた、見本見せてくれる?」と肩に触れた瞬間、そのそばで「あぁ選ばれなくてよかった~」とつぶやいた選手。
次はあなたかもしれませんよ。