ひざにリンゴを乗せて
この言葉を投げかけると子どもの動きが確かに変わる。わたしたちにとってそんな確信のあるものの一つが「ひざにリンゴを乗せて」。
小学生の短距離走のフォームでよく目につくのが、ひざが低いまま走ることでしょう。中学生以上になると、自分の走りをリアルタイムで俯瞰的に(今、あまりひざが上がってないな)と感じることもできますが、小学生にはそれはちょっと荷が重い。
でも、走っている小学生選手にコーチが「もっとひざを上げて!」と声をかけるとどうなるか。
確かにひざは上がるのですが、上半身の動きがぎこちなくなるのです。腕振りがバラバラになる。
小学生は素直にコーチの言葉に従おうとする。だからこそひざに注意が集中し、上半身のバランスが崩れるのです。
走っている真っ最中の選手に、こういう言葉を言わねばなりません。
ひざを高く上げて!でも腕振りは今のとおりなめらかにネ!上半身と下半身のバランスをとって走るんだヨ
一瞬でこの長ったらしい指示を聞き取って自分の動きに反映できる選手は見たことがありません・・。
そこで試行錯誤してきて、たどり着いたのが「ひざにリンゴを乗せて」という言葉。
不思議なのですが、これだとあまりバランスを崩すことなくなめらかにひざが上がるようです。