MENU
57,641

スレッドNo.221

論語でジャーナル’24

 有子曰く、礼の和をもって貴しとすれば、先王(せんのう)の道も斯(こ)れを美となす。小大之に由れば行われざるところあり。和をもって和すれども、礼をもって之を節せざれば、また行うべからざるなり。

 礼を実現するには調和が大切である。昔の聖人王のやり方は、この点、すなわち礼において素晴らしかった。しかし、大小を問わずすべて礼を旨(むね)としているのでは、うまくいかないことができてくる。それは、礼の実現の手段が調和であることを知らないからだ。しかし、調和が大切だという認識をもって調和をはかるのはいいが、礼の本質に帰って、身分的な秩序に従って節制を加えないと悪平等となって、またうまくいかなくなるものだ。

※浩→儒学では、何事にも2つの側面を想定し、真理はそれらの中央にあるとする傾向(中庸)が有力だと考えます。礼についてまず顕著な側面は、調和ということです。例えば、初対面の儀式や外交使節に応対する儀式では、いかなる場合にいかなる挨拶をすべきかと、最も調和を得た時間と、最も調和を得た言葉が規定されています。あるいはまた、酒を一杯飲むにも、最も調和を得た飲み方が指定されています。このように調和は礼の重要な側面ではありますが、調和の美にばかりに憧れ溺れていてはいけないのです。事柄の秩序だった遂行という礼の別の側面、それをも重視すべきなのです。日本では、学校の卒業式などで、今も固苦しいほどの調和と秩序が実行されているようです。
 「和をもって貴しとなす」は、聖徳太子の十七条憲法でもおなじみです。私たちは学校で先にこちらを学びました。
 私の両親は行儀に大変厳しくて、子どものころは私たちきょうだいはかなり厳重に守ってきました。大人になってから次第に緩んで、時には無作法をやるころもありましたが、それでも自分をかなり堅苦しい人間だと自覚しています。父は家の中では頑固そうで、隙のないふるまいをしていました。家から一歩外へ出ると、まるで“えびす顔”で、ご近所の人から好感を持たれていたようです。母は「お父ちゃんは内弁慶で外恵比寿だ」と言っていました。母は明治の女性の典型で、優しさと厳しさの両方をバランス良く備えたいて、“やさしくきっぱり”子どもたちを育てました。
 私は中学生になって家での勉強時間が長くなると、それまでのようにお座敷の隅に机を置いて勉強していては隣室で寝ている家族に気も使いました。そんなとき父は、それまで使っていなかった玄関の土間の隣にある3畳程度の和室を勉強部屋として整理してくれました。玄関の土間にはいつも背の高い父用の28インチの自転車が置いてありました。カッコ良かったです。ある日のこと、私は本棚から出した本を何冊か床に放置したまま、外へ遊びに出ていました。帰ってみると本棚も机もひっくり返り、本や文房具が床に散乱していました。呆然としていると母が来て、「あんたが片づけんから、お父ちゃんが癇癪を起こしてひっくり返した」と言いました。途方に暮れましたがどうしようもなく、1つ1つ元へ戻しました。いわば外傷体験で、それ以後は過度に几帳面になってしまいました。今でも続いています。私のライフスタイルの根幹は「几帳面」「規律と秩序」「安定」でしょうか。ともにアドラー心理学を学ぶ相棒・K先生の影響を受けると、「ま、いっか」と、ある程度中途半端に放っておける能力も少しは備わってきたようです。それでも結局気になっていつの間にか無意識のうちにきちんと整理整頓しています(笑)。
 母は改まった場所へ出向くときは必ず和服でした。着付けがとてもきちんとしていて、和箪笥から出した着物に樟脳の匂いが残っていて、子どもの私にとってはそれが母の匂いでした。
 お行儀の良い人に成長したことではずいぶん助かりました。大学生のとき家庭教師に行ったおうちで、上がるときに脱いだ靴をきちんと逆向きに揃えていたら、そこの奥様が大変気に入ってくださって、待遇がぐっと良くなりました。お月謝をはずんでいただけたのはもちろんですが、大学卒業まで家族同然に扱っていただけました。
 最近は老眼が進んで、細かいところの埃などはよく見えないため、目につかないところはほったらかしです。妹が帰省したとき、「お兄ちゃん、ここにこんなに埃が」と指摘されて慌てています。
 食べ過ぎるのと断食の中間あたりが適正なダイエットだと野田先生がおっしゃっていました。育児を考える際、やさしすぎると甘やかしになるし、厳しすぎるとスパルタになります。説明や話し合いはやさしく親切に、決まったことの実行はきっぱりとやりたいものです。“やさしくきっぱり”です。このフレーズは、1998年だったかに日本アドラー心理学会総会(名古屋)にお招きしたジェーン・ネルセンさんから教わりました。

引用して返信編集・削除(未編集)

このスレッドに返信

このスレッドへの返信は締め切られています。

ロケットBBS

Page Top