論語でジャーナル’24
子曰く、君子は言に訥(とつ)にして、行(こう)に敏ならんことを欲す。
紳士は発言は口ごもって(訥弁で)いても、行動はすばやく(実践は勇敢で)ありたいと願う。
※浩→「話す」ことが仕事である場合は困るでしょう。私は「講義」や「講演」をしてきました。今も月に1回講演をしています。そこで口ごもったら聴衆に伝わりません。が、孔子のこの言葉はそういう場合でなく日常の生活場面でのお話だろうと思います。「行動はすばやく」といっても、“即断即決即破滅”は困ります。普通はSlow but steady.のほうがいいようです。
諺(ことわざ)というのは、反対があって面白いです。「善は急げ」には「急(せ)いては事をし損じる」「急がば回れ」とか。「備えあれば憂いなし」に「明日のことを思い煩うな」。「武士は食わねど高楊枝」に「腹が減っては戦はできぬ」「衣食足りて礼節を知る」。「割れ鍋に綴じ蓋」に「似たもの夫婦」……。
「訥」を「口ごもる」と、「敏」を「すばやい」と読んでいます。「訥」を「口ごもる」と肯定形でなくて「饒舌でない」と否定形にして、「敏」は、ただ器用にしゃべるだけよりも、「きちんと実行する」ことの大切さのことだとすると、「不言実行」ということになります。静けさを好むのはいかにも東洋的です。「沈黙は金」と言われます。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」という芭蕉の名句は、喧騒と静寂の対比が美しいです。
アドラー心理学では、「言ったことは必ず実行しよう」「実行しないことは言わないでおこう」と言われます。