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スレッドNo.426

論語でジャーナル’25

16,子、子産(しさん)を謂(いえら)く、君子の道四つあり。その己れを行うや恭、その上(かみ)に事(つか)うるや敬、その民を養うや恵、その民を使うや義。

 先生が子産のことを評して言われた。「子産は、君子の道を四つ実践していた。自己の行動は慎重であり、君主と長上に仕えるには敬虔であり、人民を愛護するには恩恵があり、人民を土木工事その他の公共事業に使役するのには法則があった」。

※浩→子産は鄭(てい)の国の王族で宰相・公孫僑の字(あざな)です。孔子より1世代前の名望政治家でした。頭脳明晰で実用的な政治戦略に優れて、鄭の独立自尊を守った名宰相として知られています。孔子は子産を敬愛して、『恭・敬・恵・義』の四つの大きな徳(道)の実践があると評価しました。「恭」は「つつしみ深い」で「慎重」ということです。「厳格」と訳している本もありますが、「きびしい」よりも「つつしみ深い」ほうがぴったりだと思います。「敬」は「うやまう」ですから「尊敬」でしょう。英語のrespectはreが「もう一度」でspectが「見る」ですから、「見直す」です。アドラー心理学で言われる「良い人間関係」(相談的人間関係)は「相互尊敬」「相互信頼」「協力」「目標の一致」で、トップに「相手を尊敬する」ということがあります。「恵」は「めぐみ」で、仏教なら「慈悲」の「慈」で「いつくしみ」でしょうか。「愛」という言葉は曖昧ですが、「慈悲」の「慈」は「楽しみを与える」、「悲」は「苦しみを取り除く」という意味だそうで、これのほうが具体的です。「義」は、貝塚茂樹先生は「公正」と訳されます。吉川幸次郎先生は「法則」と訳されます。人民には本来の仕事があります。それを無視して為政者の都合で公共事業に駆り出してはいけないです。「義」の意味をわかりやすく述べているのは『孟子』です。「告子篇」に「仁は人の心なり、義は人の路なり。その路を舎(す)てて由(よ)らず、その心は放ちて求むることを知らず。哀しいかな。人は鶏犬の放つことあらば、これを探し求むることを知るも、心を放つことあるに求むることを知らず。学問の道は他なし。その放心を求むるのみ」と。孟子の名文にはいつも感動します。

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