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スレッドNo.86

老子でジャーナル

老子第12章
 五色は人の目をして盲ならしむ。五音は人の耳をして聾ならしむ。五味は人の口をして爽(そこな)わしむ。馳騁(ちてい)田猟(でんりょう)は、人の心をして発狂せしむ。得難きの貨は、人の行ないをしてを妨げしむ。ここをもって聖人は、腹の為にし目の為にせず。故に彼れを去(す)てて此れを取る。

 人工的な五色の色彩は人間の目を盲目にし、人工的な五声の音楽は人間の耳を聞こえなくさせ、、人工的な五味の美食は人間の味覚を麻痺させる。狩猟の遊びは人間の心を狂い立たせ、珍しい財(たから)は人間の行いをよこしまにする。だからこそ無為の聖人は、内なる力を腹にたくわえ、文明の虚飾を外に求めないのだ。だからこそわれわれは、そちらの耽溺を捨てて、こちらの無為を取るのだ。

※浩→ここでは、都市的な奢侈と享楽の生活を、人間の素朴で強健な生命力の衰頽現象、危険で狂った官能の病的耽溺として批判し、いわゆる文明文化の見かけだけの華やかさ、頭でっかちで下半身のミイラ化した都市の知識人の青ざめた反自然の生活からの解放、腹に底力を持ち、脚で大地を踏みしめて立つ村落自然の強靱で安定した生活への復帰を説いています。
 「目」は視覚を代表とする感覚的な欲望一般を指すそうで、感覚的な欲望充足を浅薄なものとして却(さ)けることだと言っています。なるほど、日本の戦後の娯楽を振り返ってみると、終戦直後はもっぱらラジオが娯楽の主流でした。そのうち映画が盛んになり、「視覚時代」というのですか、庶民の娯楽が映画中心になりました。ラジオでヒットしたドラマはすぐに映画化されました。典型は、その放送時間には銭湯が空っぽになったと言われるNHKの「君の名は」です。最近同名のアニメがありましたが、それとはまったく違います。東京大空襲のとき、数寄屋橋で出会ったカップルが1年後の同じ場所での再会を約束して別れるところから、すれ違いドラマが延々と展開していきました。舞台も東京からスタートして、佐渡、北海道、九州と移動しました。出演者はすでに高名な声優さんたちで、主役の2人は北沢彪さんと阿里道子さんで、他に七尾伶子さんや臼井正明さんなどでした。すぐ松竹で映画化されました。こちらの主役2人は佐田啓二さんと岸惠子さんで、それに淡島千景さんや月丘夢路さんなど超豪華配役でした。子ども向けでは、やはりNHKの「新諸国物語」です。「白鳥の騎士」から始まって、「笛吹童子」「紅孔雀」「七つの誓い」「オテナの塔」と続きました。このうち「笛吹童子」「紅孔雀」「七つの誓い」は東映作品でした。私は妹と一緒に全部観に行きました。中村錦之助さん、東千代之介さん、高千穂ひづるさん、やがて大川橋蔵さんと、当時の大人気俳優が私たちにいっぱい夢を与えてくれました。そのうちテレビが主流になって映画は斜陽化していきます。そうそう、「紅白歌合戦」も初めはラジオでスタートしました。当初は、人気にこだわならいで実力ある歌手が出演していました。そのうちテレビに移り、次第に歌手の実力よりも人気が優先されていったようで、次第に興味を失っていきました。セットもどんどん華美になって、最近は宇宙ステーションを思わせるような、金属とプラスチックだらけで、レーザー光線を多用した現実離れしたものになって、すっかり興味を失いまったく観なくなりました。映画「オールウェイズ三丁目の夕日」の時代がほんとに懐かしいです。

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