自句自解・・・拙句を推薦していただいた方有難うございました。
6 和紙透くる柔き光や春立ちぬ 8
二月に入り寒波が襲って来た。当地は比較的穏やかだが北国は大変だ。このこ
とは洋の東西を問わない。連日の戦火と寒波に怯える彼の国に思いが行く。振り返
えるとこちらは小春日和の一日。申し訳ない気持ちを抱きつつ恩恵に浸る日々。
36 顔料を摺り込み春を紡ぎ出す 1
これは画面を見ながらの作。顔料と言うことを初めて知った。染料との違いは溶
剤に解けないことらしい。この特性を使って粒々を繊維に絡み付けて色合いを出す
ようだ。お化粧と同じらしい。この場面梅だったと思うが思わず所作に見入った。
54 お刺身が具から食み出す恵方巻 1
多様性の時代を反映してか恵方巻にも変化が。具は七福神にちなんで七種類が基
本のようだが色々。内容もドライカレーやエビフライ、焼きそばまであり商業ベー
スがありあり。方角もあるようだがほとんどの人は無関心。末永い恵方巻の存在を
願いつつ。
74 雪吊や金沢城の海鼠壁 0
「海鼠壁は北陸地方の城や民家に用いられる古来からの工法で、特に防火性、
保温性、保湿性に優れている。主に四角形の平瓦を張り合わせその隙間を漆喰で
固めたものでその様が海鼠に似ているところから名づけられた。」とネットで知
った。雪吊が点在する金沢公園、その中に白亜の金沢城に張り付く海鼠壁(塀)、
その壁は厚く防御、攻撃用の工夫も凝らされていると言う。
86 降る雪や矢絣滲む京版画 0
ここ三か月ほど怪我で外出もままならずこの句も36の句同様テレビを鑑賞しなが
らの句である。この句はある京都の伝統木版画工房を取材したもので、江戸期の浮
世絵版画の版木発見やその後の京版画への取り組みなどが紹介されていた。矢絣は
破魔矢と同じ縁起物で、江戸時代嫁ぐ娘に「出戻らないように」との思いで持たせ
たとか。
※ やはり机上俳句は限界が。旨くまとめたつもりでも何か足りません。啓蟄の二月
をそろそろ卒業、外へ。虫や鳥に会いに行きます。
今回の好成績、おめでとうございます。早いようでも三か月かかったのですね。これからは吟行でもどこでも行かれるとのこと、なによりです。期待してます。