MENU
453,315

スレッドNo.1298

選句観賞

3 雛様と私の一夜飾りかな(ちとせ)
特選にしようか迷った名詞と助詞のみケレンミのなゐ怖い句ですよね。一夜飾りで薄ら怖く、「私の」でとても怖いのです。
雛を可愛いという人には読めない句であります。これからのちとせさんの句を楽しみにしております。

7 鰊群来語りとなりし番屋跡(森野)
鰊群来と番屋跡はありがちな組み合わせ。それを現在の視点で懐かしげに詠んだ所が達人です。 
国破れて山河在り、つわものどもに詩に繋がり、私には新鮮に感じました。
 
45 拳万の小指短し春夕焼け(えっちゃんあら)
幼子の小指は短くて、拳万の七分まで。焦点の絞りが効きます。
童謡になりそうな春の拳万、その詩心がうらやましいです。

75 エイプリルフール思い浮かばぬ嘘(コビトカバ)
発想の独自性。考えてみるとエイプリルフールに嘘をつこうなんてごくごく少数。それをそのまま詠んだ。
この季語に嘘の説明、その周辺をぶつけている句はありますが、こういう句はありましょうか。
成功は17文字におさめたことです。脱帽です。またよろしくお願いいたします。

80 真つ直ぐに見つめ返され椿落つ(ヨシ)
見つめ返す主体はだれか。椿では面白くないですから、私は恋の相手と読みました。
夜の椿には密会が似合います。

84 甕に足掛けて水飲む猫の春(おだまき) 
季語の動かぬ見事な写生句。この猫の絵は構図が斜めですよね。句にも動きが出ますねえ。
題「猫の春」という名画ですね。

94 小面の見つめる先の朧かな(アイビー)
能はゆったりと気分でないと観賞できません。アイビーさんの句だったのですね。豊かな時間、とてもいいですねえ。
この時間が止まるが如くの映像は、朧に集約されます。季語の斡旋が秀逸。

特選、3と75で迷い、さらに今回はあとの入選五句は激戦で、選句してるときの気分で変わりました。
結局、具象化された言葉で詠んでおられる句が残った次第です。
もう一度声に出して詠んでみたい、あらためていい句だなあとおもいます。

引用して返信編集・削除(編集済: 2023年03月16日 22:08)

このスレッドに返信

このスレッドへの返信は締め切られています。

ロケットBBS

Page Top