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スレッドNo.2126

アイビーの俳句鑑賞 その1

アイビーの俳句鑑賞 その1
例によってアイビーの俳句鑑賞3原則に則っての俳句鑑賞です。もとより私は権威でも俳句巧者でもなんでもありません。ここに述べることは私個人の感想に過ぎません。従って、異論や反論も当然あることでしょうし、またそうなることを期待してもいます。皆さんの意見交換の呼び水になればと存じます。

アイビーの俳句鑑賞3原則
・作者作品へのリスペクトの気持ちを忘れず
・入点の少ない作品あるいは無点句でも取り上げるべきは取り上げる
・いわゆる仲間褒めに堕すことを戒める

73 この先も伝え行かねば終戦日 (森野)
私もそうだが、気がつけば周囲に年長者がいなくなってきた。戦争体験を話そうにも、体験そのものがないのだ。しかし、私たちの世代は何かと不如意な戦後の時代を経て、様々な戦争体験を聞く機会があった。この見聞は次の代に伝える義務はある。戦争をパーチャルなゲームのように捉えたり、人命の重さに実感のない昨今の風潮であるだけにその念は強い。

39 パパが来て蝉捕隊の指揮を執る (束束子)
59 ママにつき手真似する子や盆踊 (束束子)
両句ともパパとママが登場する。健康で明朗な家庭の一コマを巧みに詠んだ。特に39のパパの句は、子どもの遊びにつき合ったのはよいが、だんだん熱を帯び、自分自身が蝉捕り夢中になってしまった、比較的若い父親像をユーモラスに描写した。

9 じゃんけんで秋刀魚尻尾かはらわたか (ラガーシャツ)
近年は不漁の年が多く大衆魚の王座が危うい秋刀魚だが、かつては庶民の味方として食卓を賑わせたものだ。それでも兄弟の数が多かった時代、一人に一匹づつという訳にはいかない。そこで秋刀魚の頭か尻尾かを決めるのにじゃんけんで決めた。特に秋刀魚の腸となると、子どもには苦いだけで美味くもなんともないから切実だ。古き良き時代の家庭の一コマをユーモラスに描写した。

104 口中に秋風の吹くミントテイー (青胡桃)
季語の秋風にこういう使い方もあるんだと目を洗われる思いだ。ミントテイーを一口含んで秋風、なるほどすんなりと入って来る。という訳で、感嘆しきり。やはり常日頃から、何か俳句の材料が無いかと注意深く身辺を観察してきた成果だろう。

7 蚊遺火や地球儀回し祖父語る (えっちゃんあら)
作者のえっちゃんあらさんは、言葉の使い方がとても大胆新鮮で、発想が自由なことにいつも感心している。この句もそう。おそらく実際の体験に基づいた句であろうが、なかなかに蚊遺火と地球儀の取り合わせは思いつかないものだ。地球儀を教材にして孫たちに教えるおじいさんの息づかいまで分かるようだ。

3 猛暑日や娘(こ)らよりメ-ル外に出るな (無点)
惜しくも無点句になったが味のある句。老齢の親を案ずればこそメールを寄越したのだが、「無理するな」とか「こまめに水分補給を」と言うなら分らんでもない。それがなんと、外に出るそのこと自体を止めろと言ってきた。親としては苦笑するしかない。「外に出るな」は「とにでるな」と読めば定型におさまる。

以下次号 不定期掲載

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