自句自解
8 御霊載せ打ち上げ花火昇天す
最近はテレビでの鑑賞がもっぱらである。この間は新潟長岡の花火を堪能した。実に見事なものだ。花火師が解説するのだがそ
の苦労たるものジンと来る。作者の玉に込める思いは多様のようだがただ美しく見せるだけでなく「三尺玉に俺の魂を」の気概
が垣間見える。ここにも伝統の強さを見た。それにしてもバックミュージックは興ざめ。不要と思うが。
28 僕五つあたし二つよびわの種
枇杷の種の数は枇杷の大きさによって異なるのだろうか。きちんと分けられた中に収まっている。種なしの果物は多いが種なし
枇杷とは聞かない。やはり果物には種がほしい。
41 魚飲む鵜女鵜匠の綱裁き
最近は女鵜匠の姿を見るようになった。鵜と鵜匠にも相性があるのか。鵜にも感情があれば折角飲んだ魚をを吐き出させる行
為は許せないだろう。老練な鵜なら新米の鵜匠を小馬鹿にするかも。逆に特別な感情を持つかも知れないが。
49 祭り果つ古老の叩く捨て太鼓
「捨て太鼓」のご指導をいただいたが、この場合は最後の踊りの曲が終わり一呼吸を置いて叩く「締め」の太鼓である。コロナ
禍で賛否のある中で強行した今年の大府の夏まつり。太鼓の主役である中学生も三年生でも未経験。その中で永年指導に当たっ
ていた太鼓の師匠が急遽入院、それを知った卒業生が駆けつけ仕事の合間を縫い交代で指導に参加。二週間弱の特訓でやっと本
番に間に合った。これぞ文化の継承とひとり感慨に浸った。当日は二日間で過去を上回る二万人超えの人出。感染予防に万全を
期したがスタッフからも感染者が出た。私はワクチン接種前だったので当日は自宅でメディアスの画面で鑑賞。中学生のバチさば
きを見ながら田舎の盆踊りに思いを馳せての句である。
57 七月尽ノストラダムス予言の日
この句1999年7月の作である。当時7月に「恐怖の大王」が地球に降り地球が滅亡するとのノストラダムスの予言に大いに驚かさ
れた方も多いと思う。幸いそのようなことは起こらず安堵したが、1555年初版の彼の「予言集」には3797年までの予言が記され
ておりその中に「2022年、世界に3日間の闇が訪れ、人類の三分の二が滅亡するだろう」と記されているそうだ。その中には第三
次世界大戦の勃発、小惑星シャワーの来襲などが含まれていて新型コロナウイルスの大流行、ロシアのウクライナ侵攻、トンガの
海底火山の大噴火も言い当てているという。地球温暖化が進む今、我々の身辺に異常が起きていることを認めざるを得ない。
予言が外れることを願うのみである。