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スレッドNo.2720

アイビーの俳句鑑賞 その2

アイビーの俳句鑑賞 その2
例によってアイビーの俳句鑑賞3原則に則ての感想です。お気に障ったら平にご容赦。

ゴッホなら今日の紅葉をどう描く (森野)
地味な記録だが、森野さんの投句した5句全てに入点があったことに拍手。そこで掲句。紅葉を詠んだ句は多いが、大体は日本人の美意識に立脚する。ところが作者は、ゴッホだったらどう描いたかと意表をついた。見事な紅葉とゴッホを組み合わせはちょっとやそっとでは思いつかない。機先を制した作者のペースに、まんまと嵌まった。

手繰り寄す昔昔や石蕗の花 (きんつば)
石蕗の花という具体的な形のある物に、自身の心の内なる世界を託す手法は俳句の大宗と私は思う。その意味で掲句は俳句の基本と言うべきだろう。具体的な物には抽象的な概念を配する。基本を心得た俳句巧者の一句。

犬の爪切つてけふより神無月 (尾花)
神無月は旧暦の10月のことで俳句愛好者ならともかく、普通は11月と言うだろう。ことさら神無月としたのは俳人ならでは。犬の爪を切るという日常のさりげない一コマ、そう言えば今日から神無月だったなあと気づく作者。寓意も何もない、事実を淡々と述べただけの句だが、それをちゃんとした俳句に仕立てた作者の技量に敬意。得も言われぬ味があるのだ。俳味と置き換えてもよい。

うんざりと顔に出ている大根引 (エミ)
大根引きも1本や2本ならよいが、何百本となるともう沢山という仕儀になる。自分の仕事となるとそんなことも言っておれないので、気分を取り直し再開したものの、うんざりが顔に出た。この気分をユーモラスに表現した。ところで作者のエミさんはうんざりするほど沢山の大根をつくっておられるのですか。

変顔の写真ばかりや七五三 (弥生)
弥生さんは今月のトップを取った「冬支度」の句があるが鑑賞は他の方に任せて、ここでは「七五三」の句を取り上げてみたい。
子どもの集合写真はVサインのポーズが思い浮かぶが、この句は変顔だ。変顔の筆頭は「ブタの鼻」か。子どもというものは何時の時代も変わらないなあと苦笑するばかりだ。両親もちゃんとした顔をしなさいと叱るが、結局は仕方ないと諦め、苦笑いするばかり。

真っ赤だね童もはしゃぐ秋夕日 (和談)
一日元気よく遊んだ帰り、真っ赤な夕焼けを見て子どもながら感動した。大自然の雄大な営みの前に、子どもといえど敬虔な気持ちになる。そんな情景を、作者は見逃がすことなく俳句にした。身ほとりのどんな些細な事でも観察しようとする作者の姿勢は尊い。ひとつ難点があるとすれば「はしゃぐ」の文言だ。本当に童がはしゃいだのだろうか、いま一度推敲されたい。

柿一つ残すや鳥はほくそ笑む (ヨヨ)
柿の木の天辺あたりに一つだけ残してある柿を木守柿と言う。昔からの習慣で、来年も沢山実りますようにという願いが込められている。それもあるだろうが、鳥たちにも少し残しておいてやろうとする農夫の心優しさがある。ひとつだけ残った柿を啄む鳥たちもまた自然界の構成員なのだ。掲句はその辺りの機微を詠んだのだが、「ほくそ笑む」とまで言ってしまっては言い過ぎだろう。寸止めの呼吸が大事だ。

御雉子山てふ狩場のなごり虚栗 (ちとせ)
東海市の人から聞いたところによれば、御雉子山は東海市加木屋地区の標高59メートルの山で、尾張藩のお狩場とされた歴史があるそうだ。そうした予備知識を持ってこの句を鑑賞すればまた味わいが深まる。御雉子山という名前からしてそうだ。

山に入る漢の料理きのこ汁 (ちとせ)
男(漢)料理と聞いてまずイメージするのは、材料を惜しまず調味料は適当にと、とにかく豪快な料理を思い浮かべる。この場合は山だからきのこ汁。ありとあらゆる茸をふんだんに入れ、調味料は目分量、想像するだけで旨そうだ。食べ物の句はこの句のように旨そうに詠みたい。ただ、助詞の「の」を入れる場所はどうしたものか。「漢の料理」か「漢料理の」か。

裏側で戦い止まぬ冬近し  
惜しくも無点句となったが、今日的な問題を提起する真摯な句だ。ロシア・ウクライナの戦争、中東のガザ地区と争いの種は尽きない。時事問題を俳句にするのはとても難しい。季語の「冬近し」も最適かどうか。それやこれやで未消化の感は否めない。

以下次号、不定期掲載

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アイビーさん講評頂き有り難う御座います。
 御雉子山てふ狩場のなごり虚栗 
知多半島はアサギマダラを呼ぶ為藤袴を植えています。ネットで加木屋緑地を見つけ訪ねた所、看板に御雉子山と素敵な名で尾張の狩場だったと書かれていていたく感動したのものでした。今年も訪ねアサギマダラをみました。蝶の句は無点句で残念でした。結構名残り地名があって、今は変更されましたがカタカナでハンヤと言って元は藩の薬草園だったそうですが難しいのでハンヤとしたそうです。由緒ある名前なのに残念。
 山に入る漢の料理きのこ汁 
長野に旅した時色々なキノコの詰め合わせを買い姉の家でキノコ汁を。先頃テレビで茸狩りを見て、腰に籠をぶら下げて、詳しく説明しながら、男の人でした。丁度読んでた小説が山小屋の話で、相俟っての一句です。
      有り難う御座いました。

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74 変顔の写真ばかりや七五三 (弥生) 1 アイビー
この句「変顔」に拘りました。辞書にも出ていないし違和感を覚え採りませんでした。
替えて上五を「お道化たる」とすれば思いを同じくしていただけに素直に採ったと思います。
アイビーさんも今時のこどもの有り様に苦笑しながらの選と思われます。

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108 犬の爪切ってけふより神無月
この句の観賞をありがとうございました。ご指摘の通り犬の爪を切っただけで感動も何もないのですが季語に助けられました。
今はもう我が家に犬はいませんが、一人暮らしの姉のところにダックスフンドのももちゃんがいるので、その子の爪切りは私の役目。ももちゃんがフローリングの床を歩いていてカタカタ音がするようになったら爪切りを促している証。大抵月に一度位はします。
ついでに足まわりとお腹の伸びた毛もカット。足の短いももちゃんは雨上がりなど外で汚れてきた手足を拭くのが結構面倒なので。
「神無月」は歳時記によると、諸国の神々がことごとく出雲の国に旅立たれるため、神々が留守であるというので神無月という。とあります。 私個人の生活において神様が出雲か在所かどこにいらしても、それほど変わりないのですが俳句にして「神無月」にすると何か意味がありそうな気がするのが不思議です。

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一人居のコスモス十を数へたり  の自解です。大きな屋敷に一人住まいの老人?の庭に沢山のコスモスが咲いてました。もしかして私はちっとも寂しくないわ🎵毎日コスモスといくつあるのか会話してるのかもと思い楽しくなってきた俳句でした。

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