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スレッドNo.2736

選句候補作品鑑賞

32 親指を骨に沿はせて鰯裂く (ふうりんさん) 5
  私は鰯のぬたが大の好物だった。帰省する度に亡き母が作ってくれた。晩年は緑内障を患い不自由な目で腕を振るっ
 てくれた。「親指を骨にに沿はせて」と微細な表現、これは親指でなくてはならないのだ。この力加減で身がきれいに
 骨から削がれていく。そう言えばとんとご無沙汰の「鰯のぬた」、この都会で新鮮な鰯が手に入るか。

52 小春日や歳の離れた友出来て (コビトカバさん) 4
  今日のサロン8(年寄りの居場所づくり)の頭の体操で、「18歳と81歳の違い」を披露した。恋に溺れるのが
 18歳、風呂で溺れるのが81歳で始まり、自分探しをしているのが18歳、皆が自分を探しているのが81歳で笑い納め。
 この会は同年代の集いだがこの句の場合は年の離れた友が出来たのだ。子供同士の年の差は大きいが年寄りは小さい。
 その2人が友達になった。例えば18歳と81歳とするとどうなるか。何てナンセンス。兎も角新鮮な出逢いだ。小春日が
 これからの進展を予想しているようで微笑ましい。このような出逢いが増えると世の中が明るくなり活性化するのだ。

61 ままごとの大人の会話秋日和 (きんつばさん) 3
  気がつかぬ間に孫娘も大きくなってしまった。中三だ。先日受験生の孫が靴を処分した。ふと合わせてみると何とぴ
 ったり。「冬萌えや孫より下がるスニーカー」と1句を得た。二足の靴は今も私のお供をしている。
  さてこの句、昔々の我が家にも繰り広げられた。女の子はおませだ。ままごとの世界にも無意識か意識してか母親の
 口調が混じる。うっかりしているとお客に仕立てられてしまう。秋は具材が豊富だ。ごちそうが並ぶ。秋日和が心地よ
 い。

69 ゴッホなら今日の紅葉をどう描く (森野さん) 2
  ゴッホと聞くと未だに納得いかないことがある。自画像である。ゴッホは自決の前に耳を切り落としている。左耳と
 言うことだがどの肖像画を見ても左の耳は健在で右耳に包帯を巻いているか描かれていない。そこで気づいたのが鏡文
 字だ。自画像には鏡を使うはず。それで実験、左耳を押さえて鏡を見ると右耳を押さえているのだ。当たり前のようだ
 がこの事実と肖像画を前に今ひとつしっくりこない。
 この句耳切事件以上に悩ましいですね。でも彼は日本びいき、桜も紅葉も徹底的に追求するのでは。その変化を追い求
 めて。あぢさゐと勝負させれば面白いかも。

115 燃え尽きるまでの仔細や秋夕焼 (きんつばさん) 5
  この句も悩ましい。上五、中七で読者を突き放し下五で秋夕焼と纏めすまし顔。読者の想像力を期待しての作か。
  それとも腰を据えて夕焼けの燃え尽きる様を見極めんと腹をくくっているのか。私は後者を取るがきっとこの数時間
  で多くの句をモノにしたに違いない。

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