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スレッドNo.3045

選句鑑賞

2 耳朶を打つ浦風痛し野水仙(きなこ)4
辞書で「浦」を引いてみた。湖や海の静かな入江。浜辺、海辺の意ともあった。野水仙からは自然性の強さを感じる。水仙は冬の花で雪中花の異名もある。この句風の強い冬の海辺を詠んだものだろうか。耳朶を打つが象徴的で人生の生きざまの一コマを野水仙に託した心強い作品だ。

 3 マフラーに添えて妻の感謝状(ふうりん)5
誕生祝いだろうか、または金婚式など区切りの感謝状だろうか。いずれにしても夫婦愛溢れる作品だ。
私には到底真似できない。我が家の金婚式は晩婚だったせいで後4年ある。10年以上前になるが家内の両親のダイヤモンド婚の市の祝賀式に付き添った記憶がある。ちなみに我々夫婦の誕生日の合言葉は「ご愁傷様」。お祝いは別便で孫娘が、生活用品が多い。
 
 8 凍蝶や触れれば破れさうなる黃 (森野さん) 4◎かをり
かをりさんが特選に取っている。中七から下五にかけての独創性。ちょっと真似できそうもない句だ。繰り返し吟じていると切なくなる。黄色効果も。対象をしっかり見つめることで自分に投影、人生行路の糧とする。
37の風の棲むの句に共通するものもあり自然に向き合う姿勢が謙虚で清々しい。 

29 メモ残る愛しき日々や古暦 (ダイアナさん) 3 ◎ちとせ
加齢とともに足早に過ぎ行く日々は貴重な時だ。しかし人間とは愚かなもの。同世代の知人の訃報に接しても他人ごとと思いがち。作者はある日古暦に自分の過去の心の記録を見つけた。メモとして。愛しき日々の想い出に心を奪われているダイアナさん。ちとせさんの琴線に触れた一句。

32 大根干すラインダンスの揃ふごと(てつをさん)5 ◎ラガーシャツ
白い素足が見事なラインを描く。大根干しをラインダンスと捉えたユニークな作品。ラインダンスとは言いえて妙。昔カメラに凝っていたころ仲間と遠くの農家まで出かけ作品に仕立てたものだ。干し大根もその一つ。
我が家にも太くて見事なのが二本、漬物に向くのが二本あるがお味は兎も角ラインには程遠い。

37 風の棲む丘に一輪冬薔薇 (森野さん) 5
風の棲む丘にまず降参、冬薔薇しかも一輪。8の凍て蝶の句もそうだが作者の自然を見る目は温かいがシビアだ。これはいつも自分の人生を重ね合わせているからだろう。季語の斡旋も行き届いている。何度も推敲しているのだろう。見習いたいところだ。

81 柿の葉の香りし鮨や冬日向 (ふうりんさん) 2
この句の選に当たり季語の斡旋で戸惑った。柿、鮨、冬日向と秋、夏、冬のオンパレード。でもよく見ると全て冬日向につながっている。切れ字「や」の効果か。この作者は3のマフラーの句も戴いているが家庭、家族の句がモチーフのようだ。いずれも心温まる雰囲気を感じさせる作品だ。思わず鮨を所望したくなった。

103 初釜や舌に崩るる和三盆 (束束子さん) 7 ◎ナチ―サン
アイビーさんの評にもあったが私も中7が肝だと思った。和三盆については詳しくないので検索して知識を得た。後で作者のコメントで確認し我が家の砂糖を確認したら上白糖、三温糖だった。和三盆は高級品と確認。
いずれにしてもこの句正月の句にふさわしいと思い特選に戴いた。左党としては若干のこだわりがあったことを告白する次第。下五に銘酒をと。

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