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スレッドNo.3651

アイビーの俳句鑑賞 その3

アイビーの俳句鑑賞 その3

竹の皮脱ぐ音風に聞き取れず (尾花)
竹の子がぐんぐん大きくなって、やがて立派な竹になる。その過程を「竹皮を脱ぐ」という夏の季語にした。しばしば少年や青年の逞しい成長ぶりに擬して句材にされる。ところで竹は皮を脱ぐ時、音がするものであろうか。はらはらと落ちて音あり竹の皮(正岡子規)、音たてて竹が皮脱ぐ月夜かな(小林康治)と例句があり、音はするのだろう。しからば、どんな音がするのか。作者の方が一枚上手で「風に聞き取れず」と逃げられてしまった。

草笛の音寂しくて一人っ子 (弥生)
草笛の練習をして、ようやく吹けるようになった。ここまではよくあるパターンで、なんと言うこともない。ところが中七から座五にかけて状況が一変する。自慢するべき兄弟がいない。両親も仕事なのか不在だ。つまり自慢する相手もおらず、一緒に興ずる人がいないのだ。視点を変えたことにより、類型化を避ける工夫が見て取れる。この上は、座五の「一人っ子」を言わないで読み手に「一人っ子」と分からせる工夫を望みたい。

老い二人名酒チビチビ春の宵 (和談)
人生の修羅場を潜り、酸いも甘いも嚙分けた老境二人が酒を酌み交わして来し方、行く末を論じている。座五の「春の宵」が良い味を出している。それはよいのだが、オノマトペの「チビチビ」は再考願いたい。折角の清談が、妙に貧乏たらしく聞こえるから。しみじみとした雰囲気に相応しい楚辞が望まれる。

シーソーのバランスくずれ揚羽蝶 (てつを)
シーソーの片方が重くてバランスが崩れた。揚羽蝶が出てきた。句意はたったこれだけのことだが、読み手の側からすればれば、バランスが崩れたから揚羽蝶が出てきたと思ってしまう。冷静に考えれば、そんなバカなことがあるわけがないのだが、一瞬でもそう思った時点で、読み手は作者の術中に嵌まっているのだ。

大谷のホームラン蛙喝采 (ちとせ)
理屈抜きに楽しい一句。野球を知らない人でも大谷翔平選手の大活躍は心ときめくものがある。まさに国民的ヒーローの誕生だ。ルックスがよくて、性格がよく、隆々たる体躯、おまけに億万長者ときては人気の出ない方がおかしい。何時もは煩いと感じる蛙の鳴き声も、大谷選手への喝采に聞こえる。

妹が飲む八十八夜縁起よし(無点)
惜しくも無点となったが、読み下してみて先ず感じたのは、春の時候の季語の八十八夜を詠んだのか、商品名の八十八夜なのかという疑問である。もし、商品名の八十八夜だとしたら季語にはならない。

以下次号、不定期掲載

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弥生さんが私の駄文を真に受けて考えておられた由、恐縮しております。偉そうなことを言うなら、自分でやってみよと叱られそうです。

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アイビーさん、「草笛」の句の鑑賞ありがとうございます。
「一人っ子」を連想させる工夫という事で、

母を待つ一人草笛吹きながら

と作ってみましたが、「草笛は吹くものでしょう」と夏井先生の声が聞こえてきそうです。

皆さま、これぞという推敲がありましたら是非お力をお貸し下さい。

弥生

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 大谷のホームラン蛙喝采
アイビーさん取り上げて頂き有り難う御座います。正に解説どうりです。
親指程の小さな雨蛙なのに庭に響く程の声これが3匹程、他に蝦蟇もみかけました。大谷が10、11号を連弾した時は凄かったのです。一緒に喝采です。分かって頂き有り難う御座いました。選句して頂いた茶々さんにも感謝です。
 

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アイビーさん「竹の皮脱ぐ」の句の鑑賞をありがとうございました。

どの句に対しても深く広く鑑賞して下さっているので、私にはとても参考になり勉強になります。
これからもよろしくお願いいたします。

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