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スレッドNo.3801

アイビーの俳句鑑賞 その2

アイビーの俳句鑑賞 その2

夏草の下に日月ありし丘 (森野)
どういう情景を詠んだものか、最初はマゴついたがおそらくこういうことだろう。小高い丘の頂上の夕刻、太陽が沈みゆく西空、一方東空には月が上り始めた。丘の頂上だから、どちらも見下ろす立ち位置にいる。夕日と月を一望にできるとは豪勢なロケーションだ。視界を遮るものとてない、ただ夏草が茂るばかりだ。

向かい合ふ鰻の香り夫婦かな (ラガーシャツ)
情況をイメージすれば、名の通った鰻の名店で、夫婦と思しき二人の客と相席になった時の情景か。昼の繁忙時で、相席になったのはよいが手持無沙汰だ。ようやく注文の品が配膳されたが、当然ながら相席の夫婦も鰻だ。縁も所縁もない他人同士だが、同じ鰻を食べてにわかに親近感を覚えた。こんな光景が思い浮かぶ。「相席」という単語を使えば、状況説明がすんなり行きそうだ。

田舎道蛙啼く音は今何処 (ヨヨ)
蛙が煩く鳴いている田園風景。しかし、子ども時分に比べればずっと少なくなったように思う。そんな感懐をヨヨさんが上手く句にした。しかし、座五の「今何処」は俳句表現に馴染まないと言うか、そこまで言っては言い過ぎではなかろうか。蛙は春の季語で、夏だったら蟾蜍、青蛙などと使う。同じ材料をアイビー流に詠めば、雨蛙むかしほどには鳴かざりし 

山清水行き渡らせて千枚田 (尾花)
6月句会で最高点を集めた。各地に棚田、千枚田はあり日本人の原風景とも言える。しかし、棚田、千枚田を維持するのは大変な労力が必要で、とりもなおさず我が国の農民の勤勉さを示している。この句の上五、中に「 山清水行き渡らせて」という楚辞が素晴らしい。棚田を維持している農民へのリスペクトにもなっている。

万緑や無人改札電子音 (玉虫)
二物取り合わせの句とは、こういう風につくるんだよ、という見本のような句。最近は無人駅といえども自動改札で無味乾燥な電子音がピッピッと音を発している。電鉄会社の合理化の所産と万緑、一見なんの関わりも無さそうな組み合わせから、詩情を見出すお手並みは見事。

夏場所や贔屓の力士の下克上 (ふうりん)
新しいヒーローの出現は角界を活性化させる。白鵬の引退以来、二代目琴桜をはじめ若い世代が次々に台頭し、相撲ファンを沸かせている。ふうりんさんのご贔屓は知らないが、当てずっぽうで大の里と見たがどうだろう。この観測が当たっていれば、夏場所の展開は下克上の最たるものだ。ファン冥利に尽きる。

神鳴りや今日はなんだか冴えている (無点)
惜しくも無点となったが、何故か気になる一句。神鳴り(雷)が鳴ったことと作者自身の「なんだか冴えている」こととはまるで脈絡が無い。不条理ですらある。この不条理さ加減が、この句の魅力と言ったら叱られようか。一度読んだらクセになりそうな句なのである。

以下次号、不定期掲載

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アイビーさん、鑑賞ありがとうございます!
神鳴りの句、コビトカバでした。
雷を神鳴りと書く事を勉強して、この季語で作りたい!と思いました。
神鳴りのズドーンと落ちる感じとズドンと何か降りてきて冴えてる感じを取り合わせたくなりました。

将棋ですが、藤井さん負けたんですね!
将棋は殆ど分からないんですが、藤井さん敵なしのかんじだったので、倒す人がいるとまた盛り上がりますね!

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