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スレッドNo.405

アイビーの感想 その3

アイビーの感想 その3
移ろう季無言で告げし彼岸花 (和談さん)
半田市岩滑地区は彼岸花で有名なところだ。この彼岸花という植物は、それまで何の気配も無く地中に潜んでいるのだが、秋の彼岸の頃になると急に咲き出す。昨日まで何の兆しもなかったのに2-30センチ彼岸花の茎が伸び、いきなり花をつける。この不思議な習性を和談さんは「無言で告げし」と言い留めた。岩滑に住む私にはとてもよく分かる感覚だ。上五に助詞を入れて「移る季を無言で告げし彼岸花」としてはどうだろう。

双角の子宮を月光濯ぎたり (無点句)
双角子宮という言葉自体が分らない。ウイキペディアによれば、双角子宮は女性の子宮の一種の奇形で、流産・不妊になりやすいというが、正直なところ男性の私にはお手上げだ。「月光濯ぎたり」の楚辞も非常に難解だ。かくしてアイビーごときの手に負えないので降参する。なにやらただならぬ雰囲気は伝わってくるのだが。

古城跡妣の愛した月見台 (淑子さん)
曽遊の城跡を再訪したものか。かつての訪問は母が元気な時だったが、その母も今は亡い。月見台から見る月がこよなく好きだった母、そんなことどもを思い出し感懐に耽る淑子さん。折から仲秋の名月が煌々と中天に輝いている。この場合、月が出ていることが前提だ。月が無く、月見台だけがあったのでは季語にならないと私は思う。

破芭蕉とうとう八方破れかな (えのころ草さん)
芭蕉の葉は見るも無残に破れ、その無残な様を破芭蕉と称し、格好の句材となってきた。破芭蕉の究極の姿を「八方破れ」としたが、ここまで来ると開き直りに近い。「とうとう」と入れたところに作句のセンスを感じる

幾度も秋草の名を尋ねけり (ゆめさん)
私なども覚えがあるが、物の名を聞いてもちっとも覚えられない。特に印象の薄い草花となるともういけない。いきおい、何度も同じ質問をして相手を呆れさせる。ゆめさんは何歳か存じ上げないが、ここにも同類の人がいて、私だけではないのだと心強く思ったものだ。そこはかとなくユーモアが漂って来る。

秋高し丸々肥えし地域猫 (蓉子さん)
公園などによく猫が屯している。昔は野良猫と言ったが今は地域猫という。ボランティアで餌を遣る人のグループがいて、猫は餌を漁らなくても十分に食べ物がある。ボランティアの人たちは百パーセント善意でやっており、かくして猫たちは例外なく丸々と太る仕儀となる。季語の秋高しがよく生きている。

葛の蔓切りて切りても切りもなや (てつをさん)
堤防や野原に葛が蔓延る。通路まで蔓が伸び、まことに生命力の強い植物である。丁度今頃、紫色の花が咲く。中七から座五の「切りて切りても切りもなや」と「切り」の三連発で畳みかけた。読んだ時のリズム感と作者のうんざりした気分を表現して面白い。てつをさんは当句会には初参加だが、これからも宜しくお願いします。

敬老日棹物菓子を厚く切る (ABCヒロさん)
この句の肝は「棹物菓子を厚く切る」という楚辞を選択した作者の俳句センスに尽きる。高齢者に対する敬いの気持ちを諄く言わないで「厚く切る」とのみ表現した。普通に羊羹を切ったのではただごと俳句になりかねないが、紙一重のところで傑作に変えてしまう手腕は流石。特選にいただいた。

避難所へ行くも危ふし秋出水 (ヨシさん)
この稿を書いている最中に台風14号が上陸し列島を縦断し、まことにタイムリーな句となった。避難勧告が出ても、着の身着のままという訳にもいかず、準備に手間取っている間にも風雨が強くなり、近くの避難所に行くだけでも危険を感じるほどだ。大方の場合は大したことにならないのだが、その安易さが大事に至る。

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移ろう季無言で告げし彼岸花 について
 「ふうりん」さんの◎、そして「アイビー」さんの温かな感想文に出会い、私の気持ちが伝えられたと嬉しく感謝しています。特に移る季「を」と助詞を入れる助言、有り難うございました。
 暑い暑いと言っていたのにもうこんな時季なのか。忘れていた大根の種まき、白菜、キャベツ等の植え付け期を教えてくれるのです。他の花のように、咲くよ、咲くよとの気配を見せず、ある日静かに忽然と。

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かをりさん、ちとせさん、メッセージを有難うございます。実験句、まことに結構と思います。権威や大勢に制肘されず
自由に投句出来る句会は当句会ぐらいかと自負しております。どんどん実験して下さい。
ちとせさんのお説、必ずしも美しいものだけが俳句の句材ではない、私も同感です。

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葛の蔓切りて切りても切りもなや (てつをさん)
高速道や樹木に絡まる葛を見ると覆いつくしうんざりと思っていましたが
 散策の鉄路の傍に葛の花
葛も有りかなと思いました

引用して返信編集・削除(編集済: 2022年09月21日 14:14)

アイビーさん、双角の子宮の句は私です。
うーん、最後に一句できなくて、暴走のコケ脅かしの句です。無点句、納得しております。

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