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スレッドNo.421

無選句鑑賞

今回の無点句は32句。90句なので約3割だ。良い句もあるので鑑賞したい。

1 秋の夜やラインメールはただ既読
スマホを始めて約10か月、メールでは必ず返信があったがここでほぼない。聞くと「既読」が返事だという。一方では誹謗中傷まがいのつぶやきも。古い手紙を読みながら「昭和は遠くなりにけり」とつぶやいている秋の夜。 
 
6 補聴器に秋鯖焼くる音高し 
私は補聴器を付けるほどではないが、夜、隣室の息子から「テレビの音が大きい」とメールを受けた。特に昔の映画の場合会話の部分が聞き取れない。少し音量を上げていると急に場面が替わり慌てて音量を落とす。だから洋画はいい。字幕が出るから。この句、秋鯖の焼ける音、補聴器に心地よく響くのだろう。同時に嗅覚にも。五感で秋を満喫している様が目に見えるようだ。(次点作)

14 よだれかけ線香の香り地蔵盆 
水子地蔵だろうか。赤い涎かけ。おりしもお盆、墓地には線香の香りが満ちている。この句、着眼はいいし条件がそろっている。後は表現だろうか。上5中7を工夫すれば・・・包丁さばきに期待。 

37 サルビアや紅一色の身だしなみ
サルビアの花言葉は尊敬、知恵、家族愛とか。赤の他に白、青、紫などがある。作者は意識していたかどうかは解らないが中7下5を見ると紅へのこだわりが見える。そこを「身だしなみ」と捉えた。何故か花言葉と無縁ではない気がする。 

41 病室の母といっしょに眺む月
素直な句である。でも物足りないのは一読「ああそうですか」となってしまう。月にもいろいろな描写があるのでそこを替えるだけでも違うのでは。例えば「良夜」「月の夜」「盆の月」などなど。すると自然に上5中7も表現が替わるのでは。

45 路地へ出すこんろ秋鯖渋団扇 
「こんろ・秋鯖・渋団扇」と材料を並べた。路地ということばに「昭和」が絡む。私のメモには○3つ。鯖、団扇の季重ねは兎も角どこが問題なのだろう。どなたかご指摘を。

46 双角の子宮を月光濯ぎたり 
この句アイビーさんのご指摘があったが私もお手上げ。確か何かで、どこかの国の子孫繁栄の土着の信仰として、女性性器を模した土偶を太陽(月か)に晒す記述を見たような記憶があるが定かではない。「 双角」は辞書で初めて知った。

47 耳たぶに秋色濃ゆきキャッツアイ
未開の地では当たり前のことだが、今は男性も耳輪を付ける時代。中7下5が新鮮に映った。秋色に輝く猫の目、しかも耳たぶに。
何度イメージしても・・・気になるが私には作れない分野。

50 秋簾庭に一条光差す
普通庭から簾を通して部屋に光が差すものだが、これは逆で簾を通して庭に差す一条の光を詠んでいる。簾を通して屈折した光なのかは別として一条の光を捉えた感性は素晴らしい。秋簾が効いている。

72 孫去りて虫の音浸かる老夫婦 
お盆が済み孫が去った。まるで戦争のような3日間。慌ただしく過ぎ去った。やっと老夫婦の下に虫の音が帰ってきた。また正月までの静かな時が過ぎて行く。孫の句子の句は甘くなるという。この句はどうだろう。季語を「残る虫」くらいにして推敲したらどうだろうか。

78 新涼の寺の野仏赤き帽 
この句のポイントは「赤き帽」と思うが、「寺の野仏」とは。野仏は屋外、道路脇などに祭られている仏様と思うが、何かの理由でお寺に安置された野仏なのだろうか。新涼と相まって赤き帽が鮮やか。

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