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スレッドNo.4284

アイビーの俳句鑑賞 その2

アイビーの俳句鑑賞 その2

門限は破つてなんぼいぼむしり(コビトカバ)
門限破りが開き直って「何が悪い」と嘯いている、実にけしからん句。けしからんのだが,どこか愛嬌があり憎めない。あたかも派手なパフォーマンスをしながら、どこか間が抜けているカマキリのように。この句は二物取り合わせの句だが、季語にカマキリをもって来、しかも蟷螂でなく、いぼむしりとしたところに作者のセンスが光る。

賢治忌やカタカナ文字の詩を謡ふ(玉虫)
戦前の小学校は平かなよりも先にカタカナを教えた。また、役所の公用文もカタカナ混じりの漢字で書かれていた。今よりカタカナが身近にあったのである。宮沢賢治のあまりにも有名な詩「雨ニモ負ケズ」はカタカナで書かれている。そういう故事を踏まえながら、この句を味わいたい。なお、「うた」ふの字に「謡」をあてたのは何か理由があるのであろうか。

胡弓の音編み笠舞うや風の盆(和談)
最高点に次ぐ8点を得た句。胡弓のものがなしい調べに乗せて、揃いの編み笠で踊る「風の盆」。旅情を誘うフレーズだ。菅原洋一さんの名唱を彷彿とさせる。ただ印象としては大人し過ぎると私は感じた。もっと踏み込んだ表現があってもよかったように思うのだが。

台風に忙中閑ありじいっと待つ(ラガーシャツ)
最近の台風は、史上空前とか大型で強いとかの詳細な表現をされる。伊勢湾台風に匹敵する10号台風は,迷走に迷走を重ね、来る前にこちらが草臥れてしまった。準備万端整えて備えても、台風の速度が遅すぎた。と言ってほかにやることもない。忙中閑ありという次第。

鉦叩石垣だけが残る城 (弥生)
天守閣を具えたお城ではなく、砦と言った方が相応しいような城。城とは名ばかりで石垣の一部が残っているだけでも、村おこしには大事な観光資源だ。宣伝に乗せられて、行ったのはよいが「何、これだけ、、」というケースもままある。がっかりと言うか、予想通りというか、鉦叩が鳴いているばかりだ。

合宿のオーボエの子の夏終る (尾花)
高校受験を控えた中学3年生か。吹奏楽部に所属し、最後の合宿に出かけた。3年間打ち込んできた部活、それも終わってしまった。明日からは受験のための勉強だ。中学生と言えども、「夏終る」の楚辞に一抹の哀歓をおぼえる。「オーボエの子」の一言で、吹奏楽部、受け持ちの楽器、受験生といったことを全て分からせるお手並みは見事。

以下次号、不定期掲載。

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雨ニモマケズ
の賢治の詩が好きです。詩と言っても本人が発表した物では無いとか?
しかし私はこの詩を普通に読めないのです。圧倒されて。
あらゆる事を自分を勘定に入れずに・・・
青森に暮らしたことがあります。友達がこの詩をまさに朗読しまして
東北弁と言いましょうか?その訛りこそ此の詩に相応しいのです。
優しいイントネーションです。謡うのです。
謡うを使ってみたのはそんな理由でした。

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ほんとにけしからんですよね(u_u)
私はカマキリが凄まじく苦手で、だからなのかなんなのか、カマキリをお題にした句がどんどん湧いてきます。
何故だろう。

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選句鑑賞がとても参考になりありがたいです。

アイビーさん、ナチーサンさんの選句鑑賞を読んで気づかされることがいっぱいあり、自分の句ではなくても「そういうことだったのねぇー」とか「そういう見方もあるのね!」とか自分では気がつかなかったことを発見してその句がイキイキと見えてきます。
これからもどんどん教えてください。 他の方の選句鑑賞も投稿してくれないかなぁーと期待しています。

57番のオーボエの句ですが、おっしゃる通り中3の孫が、毎年美浜町に2泊3日の合宿に行きます。今年は少年自然の家でした。
先輩後輩の関係もひと昔前のように厳しくないようで楽しんできたようです。 ただ高校受験のない学校なので、それなりにの~んびりしています。
森野さん、特選に選んでくださりありがとうございました。

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