選句鑑賞
アイビーさん、お纏めありがとうございます。
今年は九月になっても暑いので体調にお気をつけてくださいませ。
★12 風の盆神も佛も姿付けて
風の盆いうと、「風の盆恋歌」なんてありますけど、嫌いですね。
ストーリーにからみだけなら、「愛の流刑地」がほうがなんぼか潔いです。
なのですがすがしく神も佛もがええわー。
★14 賢治忌やカタカナ文字の詩を謡ふ
賢治の歌は三行であったり、カタカタという近代に託した。
カタカナ文字謡うがあれですよ、カタカナ文字を口笛に、くらいの軽さに。だけどいい句ですねえ。
★65 台風の目を観る神の眼の画像
こうなったら神も出そう。爽快な割り切りをいただきました。
★80 秋声や在りて見えざる父の星
父上の小言から教えまで、懐かしい。秋の声とはそういう郷愁のこえですよね。
秋声やで切ったのがいいです、さて皆様はどういう声を聞いておられるのでしょう。
★84 聞き役の吾枝豆の莢の山
平凡な日常という言葉はけなすことではありません。ユーモアがまさり、秋の楽しい生活句区。
お疲れ様でしたとお声をかけたくなる楽しさをいただきました。
★85 弥生杉地に還るらし島は秋
万物は流転す。大きく詠んで、島の秋でしっかりと締める。
それによってしらざる弥生杉が屋久島の杉のごとく抱きしめられぬ骨太の自然を感じます。
★★95 献体の妣帰り来ぬ白芙蓉
献体に携わった自分はまず、いただきました。献体に出すと暫くはもどらず、通常秋に献体祭り後の戻りとなります。
白芙蓉は出来すぎの季語ですが、見事にはまりました。
★96 頬に触る風変わりゆく葉月尽
今年も暑いです。とても若々しい感性、見習いたいです。
触る、触るる論争は、ここでは不問にしたいです。詳しい方のお話があれば・・・・
聞き役の吾枝豆の莢の山
拙句を取り上げていただき有難うございます。私も寄る年波で聞き役に回ることが多くなりました。若い頃の私は、立て板に水を流すという訳にはいきませんが、かなり理屈っぽい方で相手を辟易とさせることもしばしばでした。飲み屋なんかに行って酒のあては、安くて間が持てる枝豆にとどめをさします。
★★95 献体の妣帰り来ぬ白芙蓉
かをりさん、特選に推挙いただき光栄です。妻の両親は二人とも献体をしていまして岳父は10年前に献体し3年目に帰ってきました。呼び出しを受けた火葬の際には関わった5名の医学生が共に骨を拾って下さり待ち時間にはいろいろお話も聞けました。
この度の義母は1年での帰還になります。10月初めとの案内が来ていますが短縮されたのには最近の医学事情もあるようです。
私も最後のご奉公として献体をと思っていますが家内を始め家族の了解が得られません。ただ、献体に関しては本人の意思の他、家族の複雑な思いが錯綜していることは確かで最近の悩みの一つです。