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スレッドNo.4298

アイビーの俳句鑑賞 その3

アイビーの俳句鑑賞 その3

真青の背手剝きて鰯だんご汁 (ちとせ)
鰯をさばく時、新鮮な鰯であれば刃物を使わず指で割く。その鰯をテーマにした一句。刺身もよいが、つみれの鰯だんごもまた旨い。魚好きにはこたえられない句だろう。「真青」「手剝き」ということで、説明しなくても鰯が新鮮であることが分かる。食べ物の句は、この句のように旨そうに詠みたい。

なぞなぞの答えに窮し葡萄食む (てつを)
お孫さんの相手をしていたのであろうか。他愛ないなぞなぞ遊びだが、子どもは限りが無い。いい加減うんざりしてたところに、大人でもてこずる問題が出た。ギブアップのタイミングを失ったてつをさん、仕方なくそこにあった葡萄を摘む。あり勝ちな一コマをユーモラスに描写した。こういう軽みも大切な俳句の要素だと思う。

おはぐろのつゐと入來る厨かな (落方)
おはぐろはオハグロトンボのこと。全身が黒く翅も真っ黒で、普段はなかなか見られない。人の生活領域に出現することは珍しいが、どういう訳か台所に舞い込んだ。どういう種類の蜻蛉なのか、ひとしきり話題になって、そのうち何処かへ飛んで行った。それだけの話だが、おはぐろのネーミングのユニークさとあいまって、あたかも一場の舞台を見るようだ。

娘らに背中押されて踊の輪 (ふうりん)
踊りの好きな人はともかく、普通の男性は盆踊りはどうも、という人が多いのではないか。それがどういう訳か盆踊りの会場の出向いた。最初は見物するだけだったが、一緒に来ていた娘に「お父さんも輪の中に入り、一緒に踊りましょうよ」などと言われ、慣れぬ踊りをする羽目に。とかく男親は娘に弱いものだ。

まだ来ない迷走台風まだゐたか (ヨシ)
一読して不思議な感覚におそわれた。一句の中で二つの時限が同時に存在するのだ。10号台風はさんざん迷走したが時速が遅く、いつまで経っても上陸しない、上陸したらしたでいつまでも動かない。「まだ来ない」「まだゐたか」はまことに実感だが、いずれも現在形を使っているのだ。つまり、一句の中に異なる二つの時限が、しかも同時に存在するのだ。作者が意図的に編み出した手法なのだろう。不思議な魅力があって面白い試みだ。

台風の目を観る神の眼の画像 (にゃんこ)
台風の目を下界から見ることは、我々人間の目でも見える。上から見ることが出来るとすれば、もはや神の領域だ。驚きを素直に表現すれば、そういうことになる。訳知り顔で「なに、あれは簡単なことで、人工衛星から送って来た映像云々、」などと解説してはいけない。そこまで言っては野暮というもの。神の御業がどうして画像になるかを詮索してもいけない。素直に神の御業を畏れ,感嘆するところに俳句があり,詩が生まれる。

下次号、不定期掲載。

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真青の背手剝きて鰯だんご汁 (ちとせ)
 アイビーさん取り上げてくださり、並びにナチーサン選句下さり有り難う御座います。お魚も値上がりして鰯は主婦の味方。骨も刮げて味噌生姜大葉を俎板に載せて包丁で叩く。啜ったお汁の美味しさ、皆様も是非。

引用して返信編集・削除(編集済: 2024年09月26日 15:37)

おはぐろのつゐと入り來る厨かな  拾っていただきありがとうございます。
おはぐろとんぼが台所の網戸を開けると身を翻してさっと入ってきた。
蜻蛉は精霊に通じ霊を載せているので取っては駄目と子供のころから言われてきた。
特におはぐろは身にまとわりつくことが多く親しい。外へ出してやるのに苦労した。
因みに蜻蛉は秋の季語だがおはぐろは夏。あかねよりだいぶ早くから出るからかな。

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