選句候補作品鑑賞
2 耳遠き母のスマホへ虫の声 (ダイアナ) 6 ◎あい◎ふうりん
スマホの機能は素晴らしい。五感全てに対応しているように見える。難聴のの母とスマホ。そこへ虫の声。どう解釈すべきか。いろいろ楽しませてくれる句だ。
21 鬼灯を鳴らす昭和の音がする (ABCヒロ) 1
鬼灯と言えば先ず海ほうずきを思い出す。私の田舎では子供たちがこれを口に含み音を出す。この句は岡鬼灯、いずれにしても音色からは昭和の息吹きがする。最近そのような遊びが見られなくなり昭和は遠くなりを実感している。共感の句だ。
30 胡弓の音編み笠舞うや風の盆(和談) 8 ◎茶々◎ダイアナ◎ヨヨ
越中おわらの風の盆を現地で見たことはないがテレビでは何度か鑑賞している。解説を聞きその歴史や風俗を知るにつけ信仰に裏打ちされた厳粛の中にも男女の機微を織り込んだ歌詞の数々、踊りは単純な中にも情緒たっぷりの仕草など奥深い。この句の上五の胡弓の音色が全体を引き締め幽玄なものにしている。ちなみに作者は平成の時代奥様と現地で体験しているそうだ。
34 鉦叩石垣だけが残る城(弥生) 3 ◎ABCヒロ
選で迷った句。味わっていて三橋美智也の「古城」の歌詞を思い出した。かつて城を支えた石垣、上五の季語が切ない。
41 草は穂に浮いた噂は聞かぬまま(ABCヒロ)4 ◎落方、
なるほど。季語はこのように使うのですか。身近なところから句材を得ることの大事さを学びました。
79 叩き練る合い挽き肉や豊の秋 (ABCヒロ) 1
恐らく魚だろう。旬のものとすると鰯など数匹が思い浮かぶ。その新鮮な魚を叩き練るの措辞、やや乱暴だが実感がこもり好感が持てる。正に豊の秋だ。
86 初茸や仏は常にいませども
悩ましい句だ。だが捨てがたい。自分なりに解釈するもまだ消化されていない。作者の解説を戴きたい句だ