選句鑑賞
7 白衣から今日は私服の春コート (ヨシ) 5
医療関係の方でしょうか。一日けじめをつけての外出、解放感あふれた春コート。天気も良し、英気を養う貴重な一日に幸あれ!
8 耕や肥料とひかり鋤き込みて
この句には作者の作物に対する愛情と期待が込められています。きっと立派な野菜が食卓を賑わせるでしょう。肥料とひかり、言い えて妙です。無点とは意外。
12 古民家にぼんぼり灯る中馬雛 (和談) 8◎ヨヨ、◎尾花
中馬雛を初めて知りました。中馬と書いて『ちゅうま』と呼び江戸時代に信州の馬稼ぎ人たちが作った同業者の組合のことと知りました。岡崎市は足助での土雛の展示イベントが伝統として行われているようです。現地を知らないでは出来ない句です。
18 妻の物一枚羽織る春の風邪 (ふうりん) 7 ◎ナチー
何気ない日常の一コマ、素直な表現の中に妻への愛情が滲み出ています。心温まる一句。この一枚、最高の良薬かもしれません。迷わず特選に戴きました。
19 上巳節(じょうしせつ)故事なぞりつつひな飾る (茶々) 3
故事に拘る作者らしい一作。雛祭りにも宗教的な一面があったんですね。改めて雛祭りの奥深さに触れさせていただきました。今回は雛の句に佳句が集まりましたね。
69 制服を食み出す手足卒業す (玉虫) 4
一読納得できる句です。3年間の成長、靴は替えられますが制服はそうはいきません。ランドセルも。
74 ふと語り掛けてみたきや江戸の雛 (森野) 9◎ちとせ、◎楽日、◎ふうり
一般に無表情な雛が多いようで私の弟は今でも雛の部屋では寝られないそうです。その中にあってこの江戸の雛、どのような表情だったのでしょうか。自解を求めたい句です。
97 名を残す泪の茶杓春愁ふ (森野) 4 ◎ダイア
一読、千の利休を想像しました。中七に故事を踏まえ作品に仕上げました。特選にと思った句です。
ナチーサン
卒業の句を鑑賞して頂きました。
季語卒業は難しく、どうしても類句、類想から抜けられません。
今回は三年間は着て欲しい親心からの発想。
セイラー服の袖口、学生服の肘の事を思いました。
おおきくなってくれて嬉しくも、三年間を着て小さくなった制服。
それでも有りそうな句でした。また来年の宿題とします。
因みに私の小学校の卒業式でのビックリは、女子は中学校の制服を着て、参加したことです。
その頃でも、私学に行く子は居たわけで。北海道の田舎~東京(北区の)小学校でしたが、カルチャーショック!
ちっとも知らなかった~と、笑っていた私も今思うと、笑ってしまいますが。いろんな経験をしました。
ナチーサンさん、白衣の句を鑑賞して下さりありがとうございます。
医療従事者です。白衣を着ると気持ちが引き締まります。現場では色んな日があり私服で気分を変えることもリラックスの1つです。先取りの春コートでオシャレをすれば、気分が上がります(^^)